確定申告は事業者の義務です。
そして、その確定申告を受けて税務調査が入ります。
恐怖の税務調査ともいわれていますが、実際にはどのようなものなのでしょうか?
税務調査をする税務署員は税金のプロです。彼らの目を欺けません。
適切な申告をしていれば何も恐れることはありませんが、不備を指摘される可能性はあります。
今回は税務調査とはどのようなものなのか解説していきます。
税務調査とは何?
税務調査とは、国税庁や国税庁が管轄する税務署などが、納税者が正しく税務申告を行っているかどうかを調査することです。
法人税や所得税、消費税などを含む多くの税金は、性善説に基づいて、納税者(法人、個人)が自らその税額を計算して申告・納付する「申告納税制度」を採用しています。
性善説ですので、すべての納税者は脱税せず正しく税金を計算して納税しているという建前で行われています。
しかし、過失による申告漏れや故意による脱税、計算ミスによる税額間違いなどの可能性をゼロにはできません。
そこで一定程度の事業者(個人、法人)に対して、適切に税額申告が行われ、納税しているかどうかを確認します。
これが「税務調査とは何か」の答えになります。
税額の計算ミスや虚偽の申告の可能性もあるため、不正行為の防止や申告内容の確認を目的に税務調査が行われています。
強制捜査と任意捜査
税務調査は突然やってきます。
筆者の実家は飲食店(割烹)をしているのですが、ある日初めて来たお客さんがカウンターに座り、一番安いメニューを食べながら店内をじろじろ見ながら、店主(筆者父)にいろいろ聞いてきたそうです。
「これいつ購入したんですか?いくらくらいしましたか?」
「このお店って修理したのいつですが?」
明らかに初見客としては変なことを聞く(普通なら食材やお店の歴史を聞く)ので、母は「これは!」と思い、要注意人物としてマークしていたようです。
当然、レジでレシートを渡します。
翌日税務署から税務調査に入る旨連絡がありました。
母は「昨日来られましたよね」と聞いたそうで、調査に来た時にそのお客さん(税務署員)もいたそうです。
父が変なことを答えていたらそこを切り口に税務署員が攻め込んでいたと思われます。
このように何の前触れもなく「その日」はやってきます。
税務調査にはこの時のような「任意調査」以外に「強制調査」もあります。
任意調査とか?
任意調査は税務署職員が実施するもので、税務調査の大半がこれに該当します。
筆者の実家のケースもそれに該当します。
一般的には事前に通知があり、2日ほどかけて帳簿などが念入りに調べられます。
「任意」とありますが、税務調査は公権力の行使です。
税務署員(調査官)には「質問検査権」が認められており、正当な理由なく帳簿書類の提示などを拒めば罰則があります。
なお、病気や事故で長期入院中などの場合、税務調査を延期することはありますが、後日実施されます。亡くなった場合は、相続税などの税務調査の対象になる可能性もあります。
強制調査とは?
強制調査は国税局査察部が実施する調査です。
ニュースなどで「脱税事件」として報じられるのはこちらの場合が多いです。
国税庁は裁判所の令状をもって事前連絡なく強制的に行われます。
家宅捜索などと同じカテゴリになるので、調査対象となった場合は絶対に拒否できません。
完全に公権力の行使になり、税務署と検察などが連携し、犯罪としての立件も視野に行われます。
「脱税額が1億円を超える」「脱税の隠蔽工作が極めて悪質」など社会的影響が大きい悪質な故意の脱税疑いなどのケースで行われます。
みなさんが普通に事業を営んでいれば強制調査は無縁のはずで、任意調査が入る可能性があるので、それに備えて適切な経理や納税を心がけることになります。
税務調査が入る確率
税務調査が入る確率を考えます。いったいどのくらい税務調査が来る可能性があるのでしょう?
事業に関する税金(所得税、法人税等)の場合、税務調査が入る確率は
- 法人:2%~3%
- 個人事業主:0%台後半~1%
と言われています。
何か天災や特段の事情があると下がります。
東日本大震災の後の東北地方の法人や個人は税務調査が1割減りました。
個人事業主は100年に一度、法人は30年に一度の頻度であり、起業〜廃業、代変わり、死去まで一度も税務調査が入らない可能性もあります。
税務調査が入りやすい人
しかし、この確率以上に税務調査が入りやすくなることがあります。
具体的にはこのような事例です。
高額納税者
年間数億円の納税者の場合、税務調査が入りやすいです。
調査の費用対効果を考えると、多く納税している事業者の調査をして、申告漏れ等を指摘して追徴課税した方が良いからです。
年間200万円の売上しかない個人事業主を徹底的に調査して、数千円の所得税を追徴課税するのは効率が悪すぎるからです。
もちろん、このような零細事業主にも税務調査が入る可能性はゼロではありません。
特定の業種、業界
現金のやり取りメインで、レジもないような業界、いわゆる「水商売」には税務調査が入りやすい傾向にあります。
源泉徴収もせず、働いている従業員に日払いで現金支給するようなお店は、お金をいくらでも操作できます。
有名飲食店でも高額の脱税があり、それらの業界に税務調査が入りやすくなっています。
また最近話題の「シェアリングエコノミー等新分野の経済活動」をしている個人にも税務調査が入りやすくなっています。
仮想通貨取引やアフィリエイトなどをしている人、あるいはYoutuberや動画配信で稼いでいる人も「実態調査」のため税務調査が入りやすくなっています。
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税務調査の流れ
税務調査について概略を知っていただいたうえで、その流れを説明します。
税務調査とはどのように進むのでしょうか?
30年に一度、あるいは100年に一度の税務調査なので1回も経験しないかもしれませんがその時に慌てても仕方ないので、税務調査とはどのようなものか流れを知ってください。
税務署からの事前通知
税務署から税務調査を行う旨の事前連絡があります。
一般的には税務署から電話で連絡があります。筆者の家の例もそうですが、事業によっては、覆面調査のように客として事前に調査するケースもあります。
通知は義務ではなく、また税理士が確定申告書に税務代理権限証書を添付している場合、本人ではなく税理士に税務調査に入る旨連絡があります。
調査実施日の日程調整
通知が入ってから、税務署と調査実施日を決めていきます。
日程は税務署の都合ではなく、みなさんの都合で決められますが、意図的な引き延ばしはできないので注意してください。
手術の予定があるなど、特段の事情がある場合月単位で延期してもらうこともできます。
顧問税理士がいる場合、必ず立ち会ってもらうよう、税理士と日程調整を行うことをおすすめします。
必要書類を揃えて準備する
税務調査前に必要書類を揃えます。
書類については税務署から指示があります。
また、顧問税理士がいる場合必ず打ち合わせをしてください。
想定問答集や経費としても想定して準備しておきましょう。
なおチェックされやすい項目は、接待交際費、人件費、棚卸資産などです。私的な飲食を経費で落としていないか、架空のバイトを雇って給与を支払っていないか、実際には不良債権化している在庫を資産として計上していないかなど詳しくチェックされます。
「この日の飲食は取引先の○○さんなど△名でした」と答えられるようにしてください。
調査当日の対応
税務調査は2日間にわたって行われることが多く、その際には休業にしなければならないこともあります。
税務調査官のヒアリングや、「この領収証は何?」のような質問に答え、必要に応じて会計書類や銀行の通帳などを見せます。
税務調査官は正当な公権力の行使をするので、拒めません。
後日追加ヒアリング
税務調査官は、訪問での調査を踏まえ、指摘や質問をしていきます。
顧問税理士がいる場合税理士が回答します。
追加資料の提出を求められることもあります。調査がすべて終わり、税務調査の結果が出るまで約1か月です。
調査結果の通知
税務調査の最終結果が通知されます。
「申告是認」の場合は特に申告内容に問題がなく追徴課税もなく終了です。
申告漏れや過少申告などがあった場合、修正申告を求められます。
それを拒んでも「更生」という税務署による公権力の行使によって課税されます。
支払いを拒めば脱税になり、刑事事件になるリスクもあります。
不満ならば、折衝、再調査の請求や審査請求といった手続きを起こします。
その場合税理士や弁護士のサポートが不可欠になります。
申告漏れや脱税を指摘されたらどうするの?
税務署の指摘を受けて修正申告をする場合は、修正申告書を作成して税務署に提出します。
修正申告と更正の場合、不足していた税額や延滞税、過少申告加算税などを納めます。
悪質と判断されると重加算税という重大なペナルティが科されます。
不足していた税額 ・過少申告加算税:10% ・不申告加算税:15%~20% ・不納付加算税:10% ・延滞税:7.3%~14.6% ・重加算税:35%~40%(悪質な脱税の場合) |
よほど故意で悪質な場合以外は刑事事件にはなりませんが、可能性はゼロではありません。
少なくとも故意ではないように適切な会計処理と申告をお願いします。
なお税務調査で重加算税を科された場合などは、翌年以降も税務調査が入る確率が上がるのは言うまでもありません。
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税務調査とは税のプロフェッショナルである税務署職員が行います。
したがってこちらも税のプロフェッショナル=税理士が必要です。
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納税という国民の義務を適切に果たしながら、節税で経営に余力を持たせるには税理士の力が必要です。
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税務調査は一定の確率で来るものです。常に対応できるよう万全の準備をしておきましょう。