税務調査で領収書がないと問題に?見つからない場合の課題と対処法を解説

税務調査を受けるにあたっては各種資料の提出が必要で、資料の代表例に領収書が挙げられます。

どの程度の経費が発生したのかを示すもので、領収書に書かれている金額と領収書の金額が一致しているかどうかは重要なチェックポイントです。

ただ、税務調査の準備をしている人の中には「探したけれども領収書がない」という人もいるでしょう。

今回は税務調査前に領収書がない場合、どのような対応をすればよいのかについて解説します。

まず、税務調査を受けるにあたって領収書がないとどのような扱いになってしまうのかご説明します。

支出の証明ができなくなる

まず、領収書がないと税務調査で支払いの証明ができなくなります。

つまり、経費として計上している金額を本当に支払ったかどうか分からなくなってしまうのです。

「帳簿に計上している=支払いをしている」ということではありますが、領収書がなければ証明ができません。

税務調査において「客観的な観点から事実を証明できるもの」は非常に重要です。

自己申告で支払ったと言っても信憑性は薄く、相手側から発行された領収書が非常に重要な意味を持ちます。

帳簿に書かれている内容が正しいと証明できなくなることが大きな問題です。

経費として認められない可能性が出てくる

ご説明したとおり、領収書がないと支払いをしたという客観的な証明ができません。

そのため、場合によっては税務署に経費として認められない可能性があります。

本当に支払いをしていても、税務署は証拠がなければ経費として認めず、税務調査の結果として修正を求めてくるのです。

このように税務署が強気な対応を取るのは、領収書には最大7年間の保管義務があるからです。

法律で保管することが求められているため、領収書がないと経費とは認めてくれません。

ただ、以下でご説明するとおり領収書がないときの対策があるため、今すぐには諦めないようにしましょう。

税務調査では領収書を提示する必要があります。

具体的にどのような領収書が税務調査で確認されるのか理解しておきましょう。

領収書以外にレシートでも可能

「税務調査で提示する領収書がない」と焦る人はよく見受けられますが、実際には領収書ではなくともレシートでも提示できます。

「領収書」との名称で発行してもらったものが必要だと思われがちですが、レシートの名称でも提示可能です。

支払いをしたにも関わらず領収書をもらい忘れたと、後悔している人がいるかもしれません。

しかし、領収書がなくてもレシートがあれば税務調査で調査官に支払いの証拠として認められます。

レシートならば発行してくれているお店が大半だと考えられるため、領収書がなくともレシートを探してみましょう。

手書きのレシートは記載内容を確認

領収書といえば手書きのイメージがありますが、手書きの領収書には注意が必要です。

意外にも手書きの領収書は情報が不足していたり改ざんされていたりする可能性があるため、機械的なものよりも信憑性が低くなっています。

例えば、領収書には取引金額だけではなく、取引の内容や発行者を明記しなければなりません。

手書きの領収書ではこれらの情報が不足していて、領収書がないのと同じような状況になりかねないのです。

また、支払い内容はできるだけ細かく記載してもらうようにしましょう。

例えば、税務調査の際に提出する領収書に「備品」としか記載されていないと、何を購入したのか把握できなくなります。

領収書に押印がなくとも影響なし

皆さんの中には「領収書はあるが押印されていない」と困ってる人がいるかもしれません。

領収書には押印が必要なイメージがありますが、実際には押印がなくても領収書として認められます。

日本では様々な種類に押印が求められるため「領収書も押印が必要だ」とのイメージが強くあります。

そのため、「押印がない領収書は効力を発揮しない」とまで考えてる人がいるようです。

しかし、税務調査において「押印がないため領収書がないのと同じだ」などと扱われることはありません。

手書きの領収書でも印刷されたレシートでも押印は必須ではないのです。

押印の有無よりも記載事項に抜け漏れがないかに注目して確認しておきます。

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これから税務調査を受けるにあたって、領収書が手元にない場合、どのような対処をする必要があるのかご説明します。

領収書の再発行を依頼する

手元に領収書がないならば、領収書の再発行を依頼してみましょう。

取引先が明確であるならば、依頼することで改めて領収書を発行してくれるかもしれません。

発行してくれる場合は「再発行」などと、改めて発行した旨が分かりやすくなっているはずです。

ただ、領収証の再発行は必ず対応してもらえるとは限りません。

これは取引先が「領収書の再発行によって脱税の手助けをしていないか」などと危惧してしまうからです。

もし、不正に領収書を発行していると疑われると、自分たちの事業に影響が出てしまう可能性があります。

また、取引先が明確でも大手企業などは領収書の再発行に対応してくれない場合も多いです。

その会社のルールで定められているならば、やむを得ないと考えましょう。

領収書を改めて印刷する

自分で印刷するタイプの領収書ならば、再印刷して差し支えありません。

例えば、通販サイトによってはWEBサイトの画面で領収書を確認する仕組みとなっています。

このような領収書がないならば、印刷して保管しておけば差し支えありません。

一部のWEBサイトでは、2回目以降の印刷について「再発行」と表示される仕組みが採用されています。

このような表示がされていても、同じ領収書がない状況ならば差し支えありません。

ただ、一度印刷しているならば、念のためにどこかしらに領収書がないか確認しておきましょう。

また、領収書が電子ファイルで提供される場合もあります。

こちらはそのまま利用できるため、「印刷された領収書がない」と心配する必要はありません。

請求書などの書類を流用する

取引先と金銭のやり取りをする際は、請求書などが発行されます。

請求書などには取引内容や金額が記載されているため、領収書がない状況でも請求書が領収書の代わりとなるかもしれません。

ただ、その請求書について支払いをした事実がわかることが重要です。

そのため「支払い済み」「領収済み」など、支払いしたことがわかる形式であることが求められます。

また、納品書であれば、入金済みである旨が記載されている場合があります。

このようなものも領収書がない場合に役立つのです。

出金伝票を作成しておく

会社に出金伝票がある場合は、これを領収書の代わりに利用しましょう。

会社のお金から支払ったことを示せば、経費として認められる可能性があります。

基本的に出金伝票は、会社のお金を利用するタイミングで作成するものです。

記録を残すためのものではありますが、領収書がないと発覚してから作成しても差し支えありません。

お金を支払った証拠として残すことが重要です。

ただ、領収書の代わりとして利用するため、以下のとおり必要な情報を記録しなければなりません。

  • 支払いした日付
  • 支払いした金額
  • 支払先
  • 支払内容
  • 勘定科目

必要な情報が不足していると領収書の代わりにならないため、抜け漏れなく記入することが大切です。

修正申告で経費計上を取り下げる

どうしても領収書がない場合は、修正申告で経費を取り下げる方法があります。

領収書がない部分について経費に計上せず追加の税金を納めれば、税務調査で本当に支払ったかどうかについて確認されなくなるのです。

確定申告の経費として含めなければ税務調査の対象から外れますが、注意すべきは納税額の増加です。

領収書がない支払いを経費に含めないならば、それだけ課税所得が増えてしまいます。

想定よりも多くの税金を支払うことになりかねません。

また、修正申告で納税額が増えると、納税が遅れたことに対するペナルティが課されます。

これによって本来納めるべき税金よりも多くの税金を納めなければならず、こちらも想定外の支出の原因となりかねません。

領収書がない状態で税務調査を受けることはいうまでもなく理想的ではありません。

まず、税務調査について準備すべきことがあるため、以下のとおり作業しておきましょう。

手元にある領収書の整理

一部の領収書がない状況でも、手元にある領収書の整理はしておきましょう。

領収書を整理しておくことによって、どの領収書がないのか判断しやすくなります。

領収書がない場合は正直に申告するしかないため、調査官が把握しやすい状況を整えておきましょう。

また、税務調査では基本的に保管している領収書の提示が求められます。

提示を求められた際に領収書の整理ができていなければ、スムーズに提示できないでしょう。

税務調査が長引いたり領収書があるにも関わらず提示できなかったりする原因となるため、どのような状況でも整理しておくべきです。

領収書を整理する際は、支払い年月ごとに分類する方法をおすすめします。

帳簿は時系列に沿って作られることが多いため、これに近い形で分類しておくと探しやすくなるのです。

税理士への相談

税務調査にあたって領収書がないことが判明しているならば、税理士へ相談しましょう。

上記で領収書がない場合の対応についてご説明しましたが、税理士の意見も踏まえるのが一番です。

基本的には上記で説明したとおり、支払いをした事実を証明できるようにしなければなりません。

ただ、証明方法によっては信憑性が薄くなり、税務調査で認めてもらえない可能性があります。

そのため、適切な対応を熟知している税理士へ相談し、対応についてアドバイスをもらうのが一番です。

なお、顧問契約している税理士がいれば、まずはその税理士に相談するようにしましょう。

もし、税理士の契約をしていないならば、税務監査を機会に税理士を探すことをおすすめします。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

税務調査にあたって領収書がない場合についてご説明しました。

もらったはずの領収書が見つからないと焦る人が多いと思われますが、冷静に必要な対応を取るようにしましょう。

領収書がなければ経費として認められない可能性があるため、可能な限り支払いを証明できるようにします。

領収書を再発行してもらえると理想的ですが、それ以外の方法でも対応可能です。

税理士に相談すると適切な対応を指示してもらえるため、まずは相談するようにしましょう。

もし、領収書が無く相談先の税理士がいないならば、税理士法人経営サポートプラスアルファをご検討ください。

税金のプロが税務調査の対応のみならず、日頃から税金面のサポートをいたします。

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