別会社設立で取締役はどうする?兼任できるの?知っておきたいポイントを解説!

別会社設立では取締役をどうするべきか悩むケースが多いです。

果たして別会社と取締役を兼任してもいいのでしょうか。

本記事では別会社設立で取締役をどうするべきか、ルールや注意点などを説明しましょう。

別会社と取締役を兼任できるかどうかについて説明します。

取締役が別会社設立をして他社の取締役に就任することは法的に問題ない

法的には取締役が別会社設立をして、別会社の取締役に就任することは問題ありません。

取締役を兼任することについて、法的な規制は存在しないのです。

そのため、実際に複数の会社で取締役を兼任している人はたくさんいます。

別会社と現在の会社の事業が競合する場合は注意が必要

取締役の兼任で問題視されるのは、別会社と既存会社の事業が競合する場合です。

競合会社の取締役に就任するのは、競業避止義務の点から問題視されます。

会社の取締役は自社の利益のために行動することが義務づけられているからです。

競合他社の取締役を兼任すると、会社を犠牲にして他社の利益に資することができます。

そのため、競合する他社と取引をする際には取締役会による承認が必要なのです。

取締役にはさまざまな義務が課せられている

会社の取締役にはさまざまな義務が課せられています。

法令や会社の定款を遵守しなければいけません。

会社のために忠実に職務を行う義務があります。

具体的には、善管注意義務や忠実義務、競業避止義務などが課せられているのです。

善管注意義務によって、取引をする際に一般的に要求される程度の注意をすることが求められます。

忠実義務は、法令や定款を遵守する義務や株主総会の決議を遵守する義務です。

競業避止義務では競合する他社と取引をする際に重要な事実を開示して取締役会や株主総会の承認を得ることが要求されます。

監査役の兼任には制限がある

取締役が監査役を兼任する際には制限があります。

親会社の監査役が子会社の取締役を兼任できません。

監査役は取締役を取り締まる人です。

親会社の監査役は子会社を取り締まる立場のため、子会社の取締役を兼任するのは問題があります。

逆に親会社の取締役が子会社の監査役になることに問題はありません。

取締役を兼任する理由

たとえば、グループ経営をしているオーナー会社が複数の会社の取締役を兼任するケースは珍しくありません。

理由としては、別会社の経営を任せられる人材がいないケースやオーナーの意向で他人に経営を任せたくないケースなどです。

他人に経営を任せるとなると、経営を任せられる資質のある人材を見つける必要があります。

また、経営陣に対する監視体制を構築しなければいけません。

適切な機関設計を整える必要があり、コストと時間がかかります。

これらの手間を省くために取締役を兼任するケースがあるのです。

取締役が別会社を設立した場合、どんなケースで問題になるのか説明します。

競業避止義務に違反するケースがある

会社の取締役が競合する別会社を設立すると競業避止義務に違反するケースがあります。

競合他社を設立するのは、既存の会社の利益を損ねるとみなされるからです。

ただし、事前に既存の会社の取締役会や株主総会で承認を得ている場合は問題ありません。

ある会社で取締役をしている人が、会社に無断で競合する別会社を設立するのは問題視される可能性があります。

既存の会社の営業活動に損害を与えていると判断されれば、損害賠償請求など訴訟を起こされるケースがあるのです。

独占禁止法に違反するケースがある

独占禁止法の観点から取締役の別会社設立が問題視される場合があります。

取締役が競合他社の取締役に就任することは独占禁止法に違反するケースがあるからです。

独占禁止法には、他社の役員を兼ねることで競争を実質的に制限する場合には、役員の地位を兼ねてはいけないという規定があります(独占禁止法13条1項)。

たとえ子会社の取締役の兼任であっても、独占禁止法の規制の対象になるため注意が必要です。

一定の取引分野における競争を制限するとみなされれば排除措置が講じられます。

秘密保持義務の観点から問題視されるケースがある

取締役には秘密保持義務があります。

職務上知り得た情報を第三者に開示しない義務が課せられているのです。

取締役は会社の秘密情報を知り得る立場にあり、別会社の取締役を兼務すると秘密保持義務の観点から問題視される可能性があります。

そのため、秘密保持契約を締結するケースが多いです。

利益相反取引が問題視されるケースがある

利益相反取引とは、自社の利益を犠牲にして自己または第三者の利益を図るような取引のことです。

取締役を兼任していれば、利益相反取引を容易に行えるため注意しましょう。

利益相反取引は資本関係にある親子会社の間でも適用されます。

2つの会社で同じ取締役が代表して取引をすれば利益相反取引に該当します。

利益相反取引は事前に取締役会による承認が必要です。

利益相反取引が行われて会社に損害が生じた場合は損害賠償責任を負います。

別会社を設立する方法を紹介します。

事業譲渡で別会社を設立する

事業譲渡の制度を利用して別会社を設立する方法があります。

事業譲渡は第三者に対して会社の一部または全部の事業を譲渡することです。

契約を結んで資産や負債、契約などを譲渡します。

事業のすべてを譲渡する場合は全譲渡、一部のみを譲渡する場合は一部譲渡です。

譲渡の対象に含まれるものは幅広く、人材や会社設備、不動産、ノウハウまで含みます。

注意点は事業譲渡により譲渡企業側に利益が生じれば法人税が課せられる点です。

新設分割をする

新設分割とは会社を新しく設立した上で事業を包括的に承継させることです。

事業譲渡の場合は事業や資産などを個別に譲渡しなければいけません。

一方、新設分割では包括的に譲渡できるため、1つの契約で済ませられる点がメリットです。

新設分割では、事業に関する権利義務などをまとめて承継できます。

また、対象事業のみを切り出して承継させることも可能です。

新設分割で対価として配布されるのは株式であり、現金を用意する必要はありません。

吸収分割をする

吸収分割とは既存の会社に事業を承継させる方法です。

吸収分割では事業を承継させる対価として株式以外の財産を交付できます。

吸収分割の方法を分けると、人的分割と物的分割の2種類です。

人的分割は譲渡元会社の株主に対価が割り当てられ、物的分割では譲渡元会社そのものに対価が割り当てられます。

別会社の法人形態について

別会社を設立する際に新設分割を選ぶ場合は、新しく法人を設立しなければいけません。

その際には法人形態を選ぶことができます。基本的には株式会社と合同会社の2種類です。

株式会社は株式を発行できます。

将来的に上場を考えているならば株式会社を選びましょう。

社会的信用が高いのも株式会社の特徴です。

合同会社は所有と経営が一致しています。

出資者は社員と呼ばれ、平等に議決権を持ち会社の経営に携われるのです。

ただし、定款によって議決権や配当の割合を変更できます。

小規模な会社経営や自由度の高い経営を求める場合に合同会社は最適です。

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これから取締役が問題なく別会社設立をするための方法を紹介します。

競業を避けてまったく別の事業の会社を設立する

既存の会社とまったく別に事業を営む会社を設立する場合は、競業避止義務が問題視されることはありません。

競合ではないならば、取締役として別会社を設立しても、自社の利益を損なう可能性はほとんどないからです。

競業避止義務における競業の範囲は、会社の事業の部類に属する取引を含みます。

また、現在行っていなくても将来的に手掛ける予定の事業も競業の範囲に含まれる点に注意しましょう。

同業種の事業をする場合は現在の会社から承認を得る

もし、同業種の事業を行う別会社設立をする場合は、現在の会社から承認を得ましょう。

承認を得ずに設立すると競業避止義務の違反とみなされる可能性があります。

取締役会、あるいは株主総会からの承認が必要です。

別会社との取引の内容には十分に注意する

別会社設立をした後は、別会社との取引の内容に注意しましょう。

資本関係のある子会社との取引でも、内容によっては利益相反取引を疑われます。

たとえば、A社とB社の取締役との間で売買契約を締結するケースです。

B社の取締役が個人的に利益を得て、B社に損害を与える可能性があります。

利益相反取引に該当する可能性のある取引については、事前に取締役会あるいは株主総会での承認が必要です。

ただし、明らかに会社の利益を害するリスクが存在しないような取引では承認は不要になります。

たとえば、取締役が一般顧客として会社の製品やサービスを利用する場合などです。

専門家に相談しておく

取締役が別会社設立をするのは、さまざまな理由から問題視される可能性があります。

不安があるならば、事前に専門家に相談しておきましょう。

会社設立の専門家であれば、さまざまなリスクを指摘してくれます。

トラブルを避けて別会社設立をする方法を提案してくれるでしょう。

経営サポートプラスアルファであれば、会社設立の専門家として別会社設立をサポートいたします。

別会社設立のアドバイスやプラン作成、手続きのサポートまで対応可能です。

まずは経営サポートプラスアルファまでお問い合わせください。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

別会社設立をしたときには取締役を兼任できます。

ただし、取締役の兼任が問題になる場合もあるため注意しましょう。

別会社設立はさまざまなトラブルが起きる可能性があるため、慎重に計画を立てることが大事です。

専門家に相談すれば、トラブルの原因を避けて問題なく別会社設立ができるでしょう。
経営サポートプラスアルファは別会社設立に対応可能です。

会社設立の専門家が別会社設立の計画策定から実行までトータルでサポートいたします。

別会社設立のお悩みは経営サポートプラスアルファにお任せください。

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