最近「小学生がなりたい職業ランキング」が公開されました。
小学生男子がなりたい職業2位は「プログラマ」で、男女合わせても、プログラマはなりたい職業の中で圧倒的に人気があります。
それより上は芸能人とか、ユーチューバーしかおらず、子どもの頃の夢をかなえるには、プログラマというのはとても近い位置にいる仕事だといえます。
経験を積んで独立する、プログラマはスキルさえあればそれが可能です。
今回は独立プログラマとして働くために何をすればよいのか解説します。
プログラマとして経験がある人はぜひ、独立してさらなる飛躍、自分らしい働き方を実現してみてください。
プログラマとして独立、活躍するには?
プログラマとして独立して安定した仕事を取っていくには何が必要でしょうか?
具体的に「独立プログラマ」に求められる資質について考えていきましょう。
独立プログラマに必要な資格、業務経験
プログラマは実力重視なので、必ずしもIT会社でプログラムをしていることが求められるわけではありません。
実務経験ゼロでも、余人を持って代えがたいスキルを持っていれば独立してもやっていけるかもしれません。
ただ、最初の仕事を全く未経験の人に依頼するのははばかられますから、できれば、クラウドソーシングサイトなどで、副業レベルでよいので何件か受注しておくとよいでしょう。
クラウドソーシングサイトならば、単価は低いが、未経験でも可能な案件があるはずです。
それを積み上げれば実績になります。
普通に実務経験を積むならば最低1年、できれば3年欲しいところです。
転職市場で評価されるレベルになれば、独立してもやっていけます。
プログラマとして評価されるには、そのスキルを証明する資格があった方がいいです。
ポートフォリオとして、プログラムの成果物を見せられればそれでOKですが、そうではない場合、以下の資格を目安として取得しておくとよいでしょう。
取得しておきたい資格 | 資格の内容 |
---|---|
ITパスポート | IT業務に携わる人全般を対象にしている基本中の基本資格 |
ORACLE MASTER(オラクルマスター) | Oracle Databaseを提供するOracle社が運営する資格試験です。 Database Administratioと、SQLの知識に関するOracle Master Silveの2分野を学びます。 |
C言語プログラミング能力認定試験 | C言語を駆使して応用プログラム(言語処理系、ユーティリティなど)を作成する能力を認定する試験。 1級~3級まで1級が上級試験になります。 |
Ruby技術者認定試験制度 | Rubyベースのシステムを設計、開発、運用するエンジニア、Rubyでシステム提案を行うコンサルタントなどを対象にした認定試験です。 |
ほかにもプログラミング関係の試験は(多数)あり、それらを取得してアピールしても構いません。
実績やポートフォリオが少ない場合、これらの資格試験で埋め合わせをしていきます。
プログラミングスキル以外の資質も重要
プログラマの場合、SEとは異なり、要件定義をしたりクライアントと折衝したりする機会は少ないので、コミュニケーションスキルはエンジニアほど求められません。
とはいえ、最低限のビジネスコミュニケーションをするスキルは必要です。
独立するということは、自分が事業主、社長になるわけで、コミュ障では困るからです。
それが難しい場合、これまで通り雇用され、会社員としてプログラマを続けた方がよいでしょう。
例えば、異業種交流会などに参加して、他の業種、業界の人と会話ができるかなどを確認してもよいと思われます。
また、経理、会計、税務のスキルも必要になります。
これまでのように会社が手続きをしてくれるわけではなく、各種保険料、年金の納付、税務申告、日々の会計、簿記などもすべて自分(たち)で行わなければならなくなります。
これまでプログラミングだけをしていればよかったのですが、独立すると「経営者」としての仕事も入ってきますので、場合によっては、これらの業務は専門家に「外注」「アウトソーシング」することも念頭におきましょう。
最近はこれらの業務を代行してくれる専門家が増えています。
独立プログラマの平均年収から今後の進め方を意識する
プログラマとして独立した場合、どのくらい稼げるのかも事前に知っておきましょう。
独立プログラマの平均年収は約400万円~450万円程度だと言われています。
日本の平均年収が約420万円ですので、ほぼ平均値になります。
ただし、日本の平均年収は、給料の「額面」であり、健康保険や社会保険の「会社折半分」は入っていません。
つまり、この年収から年金や保険を全額自己負担で納付するため、「手取り」で考えると、日本の平均的会社員よりも減ります。
そう考えると、本当に能力のある、クライアントから引き合いの多い独立プログラマになり、年収を600万円、700万円と稼げるようにならないといけません。
ちなみに、システムエンジニア(SE)の平均年収は約800万円、インフラエンジニアの平均年収は約770万円で大きな差があります。
これは、上流工程を担当する管理監督者、企画者としてのスキルに対する報酬です。
プログラミングスキルがあるわけですので、要件定義等エンジニアのスキルを身につけて、そちらにジョブチェンジするのも1つの方法です。
あくまでプログラマとして職人となるのか、システム設計の管理監督者としてエンジニアを目指すのか、プログラミングスキルの土台はあるので、そこも大きな選択になります。
そもそも独立開業するメリットは何?デメリットはある?
そもそも、会社員としてではなく、独立したプログラマになることにどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
メリットが少なければそのまま雇われプログラマをしていればよいわけです。
メリットとデメリットを表にしてみました。
プログラマ独立のメリット | プログラマ独立のデメリット |
---|---|
収入が上がりやすい | 給料ではないので収入が不安定 |
ワークライフバランスある働き方ができる | 身体を壊した時の金銭的保障がない |
場合によっては在宅ワークも可能 | SE以外の経営や会計も行う必要がある |
大型案件や有名システムを手掛けられる | 一人で孤独な作業となりモチベーション低下につながることも |
人脈、ネットワークが広がる | 営業をかけたり案件に応募したりしないと仕事を獲得できない |
自分だけの「実績」を得られる | |
なにより「やりがい」がある |
SEなどエンジニアと比較し、一部の凄腕プログラマの方(※)以外は、年収が頭打ち傾向になります。
また、40代、50代になると若いプログラマに席を取られかねません。
(※)ほぼ「バグ」に近いテクニックを使って『ファイナルファンタジーⅢ』の画面を動かしていたと言われているナーシャ・ジベリ氏などのランクにあれば、報酬も青天井です。 FFⅢだけがDS版までリメイク移植できなかった(一方、Ⅰ、Ⅱ、Ⅳはさまざまな機種に移植できていた)のは、彼しかⅢのプログラムがわからず、スクウェア退社後、彼の力を借りられなかったからだと言われています。 |
したがって、独立開業して、個人の実績を売りにできるようにして仕事を獲得していきます。
ワークライフバランス重視な働き方ができ、「デスマーチ」を避けることができます。
在宅ワークも可能で、好きな時間に仕事ができます。
好きな仕事だけ選ぶこともでき、モチベーションアップになります。
一方で、自分で仕事を獲得しないといけません。
上から仕事は降ってこないので、アクティブさが求められます。
がんばってもそれだけで評価されず、成果物(プログラム)で厳格に査定されます。
能力がないならば、今まで通り雇用された方が楽です。
また、「経営者」としての側面や「会計、経理」としての各種仕事も行わなくてはなりません。
プログラミングだけをしていればよい、ということにはなりません。
それでも、スキルがあり、自分らしく働き、収入アップしたい人は独立をおすすめします。
独立プログラマとして仕事の獲得法
「独立した!」と宣言しても、勝手に仕事が舞い込むわけではありません。
どのように仕事を獲得するのか、みなさんの腕の見せ所です。
クラウドソーシングサイト
独立開業時、仕事を獲得しやすいのは、クラウドソーシングサイトです。
クラウドソーシングサイトは、ネット上で仕事の発注、受注ができるサイトで、実際に電話や対面で契約しなくても話が進みます。
お互いの名前や身分を明かさなくても取引ができるため、在職中から副業で経験を積むこともできます。
クラウドソーシングサイトとして有名なのは
などです。
ランサーズやクラウドワークスはIT特化ではないさまざまな仕事の受発注サイト、残りはIT分野に強いクラウドソーシングサイトです。
前者が「リクナビ」や「マイナビ」、後者が「DODA」や「レバテック」とイメージしていただくとわかりやすいです。
転職ではなく、クラウドソーシング版になります。
エージェントやフリーランス向けサイトの利用
プログラマ向けの仕事検索サイトです。
クラウドソーシングよりも転職サイト寄りで、あくまで契約は、直接クライアントと取り交わすことになります。
クラウドソーシングサイトの場合、20%程度のシステム手数料を取られますが、こちらは、転職サイトと同様、無料で利用でき、手数料をこちらが支払うことがない、あるいはサイトに支払う手数料率がクラウドソーシングサイトより低く、手取りが増えます。
スキルの高いプログラマはクラウドソーシングサイトではなくこちらを利用することが多いようです。
代表的なサイトとして
- レバテックフリーランス(手数料なし)
- エミリーエンジニア(手数料なし)
- テクフリ(一部案件手数料あり)
など数多くのサイトがあります。
友人、知人、元の会社からの依頼
人的なコネクション、ネットワークを使って仕事を受注します。
友人、知人にプログラマやIT会社の人がいれば、そこから仕事を紹介してもらえます。
また、会社から円満に独立したのならば、仕事を振ってもらえることがあるかもしれません。
みなさんのスキルや人柄を知る人たちからの依頼なので確実です。
また、異業種交流会などに参加して、人脈を広げて仕事につなげることもできます。
こちらはすぐに仕事につながらないかもしれませんが、コミュニケーションスキルを鍛える意味でも無駄にならないはずです。
独立開業は個人事業主として行うべき?法人化はあり?
プログラマとして独立開業する際、会社設立と個人事業主、2つの選択肢があります。
それぞれメリットとデメリットがありますが、まずは個人事業主としてスタートすることをおすすめします。
実績がついて売上が上がってきたら、法人化を検討すべきです。
会社設立(法人化)してプログラマの仕事を始める |
独立プログラマを個人事業主として行う |
メリット |
|
社会的信用がある(取引先から見て) |
簡単に設立できる |
経費の範囲が広い |
定款などの作成義務がない |
責任の範囲が有限 |
自由な働き方ができる |
赤字繰り越しが10年である |
廃業手続きもすぐにできる |
売上が多くなれば個人事業主よりも税率が下がる |
社会保険に加入できないため、国民健康保険と国民年金では老後が不安 |
最高税率が23.2%と所得税の約半分 |
|
デメリット |
|
設立までの手間がかかる |
社会的信用がない |
設立後の帳票作成や税務申告が大変 |
最大税率45%と法人税よりはるかに高い |
赤字でも法人住民税がかかる |
無限責任で経営失敗のマイナスはすべて自分が負う |
社会保険へ加入しなければならない |
赤字繰り越しが3年までしかできない |
会社の廃業手続きが煩雑 |
経費で落とせる範囲が狭い |
法人化すると社会的信用が上がりますが、手続きや会計処理の手間が増えます。
フリーのプログラマであれば、個人事業主としての届け出(税務署に行う)でとりあえずは十分だと考えます。
企画、案件ごと請け負うエンジニアの場合、法人化によるメリットは大きいですが、プログラマの場合、エンジニアの指示によりプログラミングするので、個人事業主でも十分です。
事業主体 | 法人化(会社設立) | 個人事業主 |
---|---|---|
所得税 | 代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その5%~45% | 事業の売上から「事業所得」を算出してその5%~45% |
個人住民税 | 代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その約10% | 事業の売上から「事業所得」を算出してその約10% |
消費税 | 課税売上1000万円以上の場合支払う(2年間は支払い義務がない特例もあり) | 課税売上1000万円以上の場合支払う |
法人税 | かかる(15%~23.2%) | なし |
法人住民税 | かかる | なし |
法人事業税 | かかる | なし |
個人事業税 | なし | かかる |
もし、プログラマとして売上が年間1000万円を超えるくらいになれれば、税制面で個人事業主よりも法人化した方が得になります。
個人事業主が納めるのが所得税、法人化するとそれが法人税になります。
実は、所得税と法人税では税率が異なり、売上(年収)が低いと所得税の方が税率は低くなり、納税額も安くなります。
しかし、売上が年間1000万円を超えるあたりで、法人税率の方が低くなります。
もし、プログラマとして大型案件を手掛け、余人をもって代えがたいレベルに達しているのであれば、ぜひ法人化、会社設立を目指してください。
その方が、メリットが大きいです。
最初、個人事業主として独立開業し、しばらくして法人化することもできます。
焦らず、専門家のアドバイスも参考にして法人化の可否を判断してください。
なお、個人事業主としての開業届を税務署に出さずに、フリーとして働くことはできますが、まったくおすすめしません。
確定申告は義務ですし、デメリットが多いので、必ず(法人化しない場合は個人事業主の)開業届を出してください。
<関連記事>
プログラマ独立時の開業資金は?
独立開業する際、自宅兼事務所でスタートすれば、物件等の取得費費用が発生せず、ほとんど開業資金は必要ありません。
最大限開業資金を見積もった場合、以下になります。
独立開業費資金内訳 | 金額 |
---|---|
物件取得(敷金礼金仲介料) | 50万円(自宅開業なら不要) |
パソコン(高スペックなもの) | 50万円(所持しているなら不要) |
オフィス用品(什器、電話、FAX等) | 30万円(自宅開業なら不要) |
運転資金(当面の生活費) | 50万円~70万円 |
合計 | 高くて200万円 |
(法人の場合)法定設立費用 | 6万円~20万円+資本金 |
それまでは職場のパソコンを使用していて、独立にあたり事業用の高性能パソコンが必要な場合、開業資金に計上できます。
そのほか、外部に事務所を借りる場合はランニングコストがかかります。
自宅、かつ自分のPCで行うのであれば、ほとんど開業資金はかかりません。
もし開業資金が必要な場合は、日本政策金融公庫やお近くの商工会議所、商工会の創業窓口に行き「創業融資」の申し込みをしてください。
ある程度の自己資金としっかりした事業計画書があれば通ります。
あるいは、開業、会社設立、資金調達に詳しい民間のコンサルティング会社もありです。
例えば、「経営サポートプラスアルファ」などにぜひお問い合わせください。
プログラマとしての独立をお考えの方は「経営サポートプラスアルファ」に相談を!
プログラマはそのスキルを最大限生かせれば、独立開業しても十分やっていくことができます。
そのためには、実績や資格を効果的にアピールし、有能な人材であることを示す必要があります。
独立開業はリスクも伴うため、人によってはそのまま会社員として雇用されていた方がいいケースもあり、一概に100%独立開業すべきとは言えません。
そこで、これまでの経験の棚卸しを含めて、一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか?
「経営サポートプラスアルファ」は、開業や資金調達、税務のプロフェッショナル集団です。
プログラマの独立についても経験豊富で、的確なアドバイスができます。
独立の可否、法人化の可否についてもアドバイスさせていただきます。
最後に判断するのはみなさまですが、そのための情報を提供します。
土日祝日夜間も対応します。
また、遠隔地にお住まいの方は、LINEやZOOM、チャットワークを用いた相談もできます。
プログラマとして充実した仕事、ワークライフバランスのある生活を手に入れるため、ぜひ独立について検討してください。