仕事を行うときは企業への就職を考えることができますが、会社設立を行うのも良い方法です。
会社設立を行うなら、自分で経営する必要があるので作業は多いですが、やりがいも感じやすいです。
今では多くの人が若いうちに起業して会社設立を考えているので、年齢が若い人も前向きに検討できます。
ただ年齢について「未成年で会社設立をして大丈夫なの?」と疑問を感じる人もいるでしょう。
未成年でも会社設立を行う際にはどのようなポイントを把握しておくべきなのか紹介しましょう。
未成年が会社設立を行うときに覚えておきたいこと
「会社設立」と聞くと成人からという認識を持っている人も多いでしょう。
ただ、会社設立は未成年でも行うことが可能です。
未成年が発起人となり、会社の代表取締役として活動することは法律でも禁止されていないので問題ありません。
しかし、未成年で会社設立を行うなら、成人とは違うポイントもあるので確認しておくことが大事です。
以下の点について内容を把握しておきましょう。
会社の設立には親権者の同意が必要
未成年者が会社設立を行うときは親権者の同意が必要になります。
会社設立を行うときは実印や印鑑証明書を用意する必要がありますが、印鑑証明書の登録は15歳以上でなければ行えません。
しかし、法律では法定代理人の同意を得ることで会社設立を行えることになっています。
そのため、親権者が法定代理人として手続きを行うなら、未成年でも会社設立を行う点で問題はありません。
また、15歳以上だと印鑑証明書の作成を行えるとはいえ、未成年単独で会社設立はできないので、必ず親権者の同意が必要になります。
つまり、未成年であれば親権者の同意がなければ会社設立を行うことはできない仕組みとなっているため、自分の親から承諾を得なくていけません。
会社設立の際は15歳未満だと印鑑証明書の他に戸籍謄本、15歳以上だとさらに親権者の同意書を持参しなくてはいけないので、しっかり準備しておくことが大事です。
未成年の場合は取締役になることは難しいことも
会社設立を行うときは役員を決定する必要もあるでしょう。
会社設立の際は15歳未満だと就任することができません。
15歳未満だと登記するための印鑑登録を行うことができないので、就任させたくても法律的に不可能と言えます。
15歳以上からなら印鑑登録が行えるので会社を設立することができますが、意志能力が問われるので役職選びのときは未成年も考える必要があります。
さらに、責任能力についても考慮されるため、自分の行動についてコントロールできる年齢でないと登記申請の際に法務局によって却下されることもあります。
大体意思決定と責任能力については12歳以上から問題ないとされているため、12歳未満だと取締役などには就任できないと認識してください。
会社の社員や株主になることは可能
会社運営を行うなら、業務執行社員や株主などの立場も考えることがあるでしょう。
ただ「未成年で会社の社員や株主になれるの?」と疑問を感じる人もいるはずです。結論から言うと会社の社員も株主にも未成年でなることができます。
ただ、会社の代表社員になるときは上記でも紹介しましたが、印鑑届出書を提出する必要があり、印鑑証明書の添付も必要です。
印鑑証明書は法律により15歳未満は発行できないので、業務執行委員にはなれても代表社員は難しいでしょう。
株主は会社設立を行うことができる年齢であれば誰でもなることができます。
ただ、株主総会で議決権を行使するときに親権者の同意が必要であり、もし法律行為に該当するようであれば親の同意が必要です。
また、親がお金を出して実質的な株主となり、脱税の方法となっていないのか税務調査が入ることもあるので注意が必要です。
社員も株主にも未成年はなることができますが、年齢によっては「全てを自分で決定させることはできない」と覚えておきましょう。
事業の決定では親の同意は必要ない
未成年が会社設立をして事業を行うことになれば、クライアントとの契約を行うこともあるでしょう。
ただ、未成年は契約を行うときに法律上親の同意を得る必要があります。
そのため「未成年では事業での契約を行えないのでは?」と疑問を感じる人もいるでしょう。
法律では会社設立の際に親の同意は必要ですが、親から1度許可を得た事業においては成年と同様の扱いともなります。
つまり、親から許可を得ている状態であれば逐一契約の際に親から同意を得る必要がありません。
未成年で会社設立をして事業を展開するなら、決定も自分で行うことができるようになるため、自分の決定に責任を持つことが大事です。
尚、商法では未成年者が事業を行う場合に登記が必要とされているため、その点も注意して行っていきましょう。
未成年で会社設立を行うメリットとは?
未成年でも会社設立を行うことは可能です。
さらに、未成年で会社設立を行うなら子供にとってもメリットがあるので、親権者は機会があるなら前向きに考えてみることができます。
未成年による会社設立のメリットは以下の点です。
知名度の向上を期待できる
未成年で会社設立を行うなら知名度の向上を期待することができます。
未成年で会社の社長になり事業を運営することは法律上可能ですが、日本ではほとんどありません。
代表取締役などの高い地位は若くても20代であり10代の未成年が事業展開しているとなると大きな話題となるでしょう。
そのため、未成年の社長は会社の事業サービスや名前を覚えてもらうのに適しています。
テレビやネットでも話題になりやすいため取材を受ける機会も増えることが予想できます。
未成年の子供が社長として仕事を行う場面は大きな印象に残りますし、本人の考え方や意思決定などの様子を見るなら、育て方について興味を示す人も多くいるでしょう。
もちろん、会社の役員になることは責任が発生することになるため、話題作りだけのために自分の子供を利用するのはリスクが高いです。
未成年である子供の能力も考慮した上で検討してみましょう。
子供の発想により新しいものが生まれる可能性がある
会社設立をして子供が商品開発やサービス向上を考えるなら、時に大人では思いつかない発想をして大きく事業が成功することもあります。
子供は大人と違い柔軟な発想をするため、無理なことでも「なぜなんだろう?」と考えることが多いです。
大人だと固定観念により諦めてしまいそうなことも、未成年であれば、概念を打ち壊して新しいものを生み出すこともあります。
そのため、親権者は子供の発想力が豊かであるなら、思い切って会社運営に携わらせてみることができます。
例えば、新しい商品の開発やアイデアで行き詰まっているなら、子供に任せてみることで新しいアイデアが出ることもあります。
さらに、市場調査とは違う柔軟な発想で大きな可能性を見出すことも期待できます。
未成年でも発想が独特であったり特別な感性を持ったりしているなら、会社設立をして可能性を試してみることもできるでしょう。
成長において必要な能力を得られることも
未成年で会社設立をして運用していくなら、成長過程において必要な能力を得られることも期待できます。
未成年は吸収することが多いので、会社の運営に携わることで、必要な能力を伸ばすことができます。
例えば、会社運営をする際は取引先との話し合いが必要になるので、コミュニケーション能力を伸ばすことが期待できます。
会社の運営は人をまとめる能力も必要なので、事業を通してリーダーシップを鍛えることも可能です。
会社の運営は難しいことも多いので、至らない部分が生じたときは親権者のサポートも必要になります。
ただ、会社を設立して事業に携わることで社会的に必要なマナーや将来の目標なども見つけられるなど、子供の可能性を広げることができます。
学校では学習できないことを吸収させて、成長につなげることができるので、親権者は会社運営を許可してみるのもいいでしょう。
未成年で会社設立を行うデメリット
未成年で会社設立を行うならメリットだけでなく、デメリットも注意しておく必要があります。
未成年が会社を設立して運営していくとしても、デメリットの部分を考慮していないと失敗となるでしょう。
デメリットは以下のようになっています。
社会的な信用を得ることはかなり難しい
未成年で会社設立をして運営していくなら、社会的信用を得るのはかなり難しいといえます。
社会による人の信用は実績や経験などもありますが見た目や雰囲気も大きく影響します。
また未成年の場合、どんなに立派な格好をしても年齢的に信用を得ることは難しいです。
そのため、重要な取引をするときは外見から契約を断られてしまうことも予想できます。
さらに「未成年で会社の運営をしているのは父母の力があるに違いない」と見られてしまうこともあるため、未成年で社長になって実績をあげたとしても評価を得にくいこともあります。
もちろん、クライアントによっては見た目などではなく実績を評価して取引をしてくれる人も多くいますが、20代での社長でも信用を得ることは難しいため、未成年だと尚更険しいことは覚悟しておきましょう。
融資を受けることが難しい
会社設立をして運営していくためには金融機関から融資を受けることが重要です。
事業を運営していくためにはお金が必要であり、時にはキャッシュフローや機器の導入などでお金が足りなくなることもあります。
そのため、金融機関から資金調達できるような仕組みを作っておくことが大事です。
金融機関は融資の際に決算書などを見て決定しますが、年齢も判断基準となっています。
金融機関は原則18歳以上や20歳以上から融資を検討しており、未成年に融資を行うことを許可していないことが多いです。
そのため、社長であっても未成年だと融資を断られる可能性が高いということです。
もし、融資を受けることが難しいなら会社運営の危機に直面することもあるでしょう。
そのため、親権者の方が代理として融資を受け、その資金を子供が使用する方法など、うまく工夫して資金調達することが大事です。
従業員をまとめることが難しいことも
未成年で事業を展開するなら規模にもよりますが、従業員を雇うことも検討するでしょう。
ただ、従業員を雇い、実際に指導するとなると、未成年では求心力を得られないこともあります。
従業員だと同じ年齢の未成年ではなく、自分より年上の人ばかりになるでしょう。
未成年だと年上の従業員は見た目と年齢から軽く見てしまうことがあり、意見を聞かないことも考えられます。
職場でも実績よりは見た目や年齢を重視する人も多いため、未成年の社長だとよりまとめることが難しくなるでしょう。
もし、従業員をまとめることができない状態になれば事業をスムーズに進めていくことができないので、会社の経営に悪影響が出ることも考えられます。
未成年で人をまとめることは苦労する可能性が高いので、できれば親権者の方が従業員をコントロールすることができるように対策やサポートを行うのが得策です。
または、求人を出して募集するときは未成年が社長でも問題ないのか応募者を見極め、質の良い従業員を雇うようにすることもできるでしょう。
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未成年での会社設立は良く考えよう
未成年で会社設立をするときは法律上、親権者の同意が必要です。
また、会社運営を行う際は未成年だとメリットもありますが、デメリットもあるため、親権者がサポートをすることも求められるでしょう。会
社設立をして終わりではなく、大事なのは運営を成功させることなので、ポイントを掴んで経営をしていってください。