【税理士が解説】マイクロ法人の作り方とは?マイクロ法人を作るメリットも詳しく紹介

マイクロ法人とは、従業員をほとんど雇わず、経営者自身が中心となって運営する小規模な法人のことを指します。個人事業主として活動していた人が、節税や事業の信頼性を高めるために法人化を検討するケースが増えており、特に小規模事業に適したマイクロ法人が注目されています。本記事では、マイクロ法人の作り方やそのメリット、設立時のポイントについて詳しく解説します。

マイクロ法人は、その名の通り、小規模な法人を意味します。法人と聞くと大企業や多くの従業員を抱えた会社を思い浮かべるかもしれませんが、マイクロ法人はその逆で、経営者1人、もしくは数名の小規模な人員で事業を展開する形態です。

主に、節税効果社会保険料の最適化を目的に、個人事業主が法人化する際に採用されることが多いです。法人化することで、所得税の累進課税率を回避し、法人税を活用して節税を図ることができます。また、役員報酬を自由に設定できるため、社会保険料を調整することも可能です。

マイクロ法人を設立する主な目的は、個人事業主としての税負担の軽減事業の信頼性の向上にあります。

1. 節税効果

マイクロ法人を設立する大きな理由の一つが節税効果です。個人事業主は累進課税によって、所得が増えると税率も高くなります。しかし、法人化することで、法人税は一律の税率(約23%)で課税されるため、高い所得税負担を抑えることが可能になります。

さらに、法人化すると、自分に役員報酬を支払う形にでき、その報酬額に対して給与所得控除を適用できるため、個人としての税負担を軽減することができます。また、法人として経費を計上できる範囲も広がるため、事業にかかる費用を経費として処理することができ、節税効果が大きくなります。

2. 社会保険料の調整

法人化すると、役員報酬を設定することができるため、社会保険料をコントロールすることが可能です。個人事業主の場合、収入が増えると国民健康保険や国民年金の負担が増加しますが、法人化すると厚生年金健康保険に加入することができ、保険料負担を最適化することができます。

役員報酬を低めに設定すれば、その分、社会保険料の負担を減らすことができ、事業の利益を最大化することができます。一方で、将来的な年金受給額を考慮しながら報酬額を設定することも重要です。

3. 信用力の向上

法人化すると、法人名義で契約を行ったり、取引を行ったりすることが可能となり、事業の信用力が向上します。個人事業主としての信用力よりも、法人格を持っている方が取引先や金融機関からの信頼を得やすく、特に大手企業やBtoBビジネスでは法人化が有利に働きます。

また、法人としての財務状況を示す決算書が作成されるため、融資や資金調達の面でも信用力が向上し、スムーズな資金繰りが可能となります。

4. 法人格による事業の継続性

法人は独立した人格を持つため、経営者が交代したとしても法人自体は存続します。これにより、事業を他の役員や従業員に引き継ぐことが容易になり、個人事業主のように経営者の引退や死亡に伴って事業が終わることを防げます。

法人化することで、事業の継続性を確保し、取引先や従業員に対しても信頼感を与えることができます。

マイクロ法人の設立手続きは比較的簡単ですが、注意点やポイントを押さえることでスムーズに進めることができます。ここでは、マイクロ法人を設立するための基本的な手順を解説します。

1. 会社形態を決める

まずは、設立する会社の形態を決める必要があります。マイクロ法人では主に「株式会社」か「合同会社」が選ばれることが多いです。

  • 株式会社: 取締役や株主総会を持ち、組織的な運営が求められます。信頼性が高く、資金調達もしやすい点がメリットです。
  • 合同会社: 株主総会の設置が不要で、組織運営が簡単です。設立費用が安く、決算内容の公開義務がないため、プライバシーの保護がしやすいのが特徴です。

事業の規模や将来的なビジョンに応じて、適切な会社形態を選択することが重要です。

2. 商号・事業目的を決定する

次に、会社名(商号)や事業目的を決定します。商号は他の会社と同一でないことが求められ、印象に残りやすい名前を選ぶことが推奨されます。また、事業目的も具体的に記載する必要がありますが、将来的に事業を拡大する可能性がある場合は、幅広い目的を設定しておくと柔軟に対応できます。

3. 定款を作成する

定款とは、会社の基本ルールを定めた重要な書類であり、会社の憲法ともいえます。会社の目的や組織体制、役員の任期などを明確に記載する必要があります。株式会社の場合は、定款の作成後に公証人役場で定款の認証を受ける必要がありますが、合同会社では認証は不要です。

4. 資本金の払い込みを行う

資本金は、会社設立時に必要な資金のことです。現在では1円からでも法人を設立することが可能ですが、信用力を考慮すると、最低でも数十万円以上の資本金を設定することが一般的です。資本金は、発起人の個人口座に一時的に払い込み、その後、法人口座に移行する形を取ります。

5. 登記手続きを行う

定款の認証と資本金の払い込みが完了したら、法務局に登記申請を行います。登記申請には、定款や資本金払い込み証明書、発起人や役員の印鑑証明書などが必要です。登記が完了すると、会社としての法人格が正式に認められます。

登記完了後には、税務署や市区町村、年金事務所などへの届出が必要です。これらの手続きが完了すれば、マイクロ法人としての運営が始まります。

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マイクロ法人を設立する際には、いくつかの注意点があります。これらを事前に把握しておくことで、スムーズな法人設立と経営が可能になります。

1. 設立費用がかかる

法人設立には、登録免許税や定款認証費用がかかります。株式会社の場合、設立費用は約20万円から30万円程度かかることが一般的です。また、法人設立後も税理士や社会保険労務士に依頼する場合、毎月の顧問料が発生する点にも注意が必要です。

2. 毎年の決算と税務申告

法人化すると、毎年の決算書の作成と税務申告が必要です。個人事業主と比べて、帳簿の管理が厳格に求められ、法人税や消費税の申告も加わるため、税務処理が複雑になります。税理士に依頼する場合は、顧問料が発生し、経営コストが増える点も考慮しておくべきです。

3. 社会保険の強制加入

法人化すると、経営者も社会保険に強制加入することが義務付けられます。個人事業主であれば、国民健康保険や国民年金のままでもよいですが、法人化すると厚生年金と健康保険に切り替える必要があります。これにより、社会保険料の負担が増加する場合がありますが、将来的な年金受給額が増える点ではメリットがあります。

マイクロ法人は、個人事業主にとって税負担の軽減や信用力の向上、社会保険の最適化といった多くのメリットがあります。設立手続き自体は比較的簡単ですが、事業の成長や将来のビジョンに応じて法人化を検討することが重要です。法人設立の手順をしっかりと把握し、専門家の助言を受けながら、最適な形でマイクロ法人を設立することで、ビジネスの成功に繋げることができるでしょう。

ぜひ、経営サポートプラスアルファにご相談ください。

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