今回は会社設立を考えている方々のため、必要となる書類について解説したいと思います。
会社設立には、
- 個人の印鑑証明書
- 個人の実印
- 会社の印鑑(「会社の実印」・「角印」・「銀行印」・「ゴム印」)
などが必要です。
そもそも印鑑証明とはなぜ必要とされるのでしょうか。
印鑑でわからない問題は全部ここで解決しましょう。
会社設立に印鑑証明が必要な理由
はじめに会社設立に印鑑証明が必要な理由を順番に説明します。
これから起業をはじめるなら必ず知っておかなければいけないので、ぜひ参考にご覧ください。
印鑑証明書にはどのような効果を期待することができるのか
印鑑証明書とは、公的機関が印鑑の所有者が誰なのか証明する書類です。
契約書・申請書に対して印鑑が押され、印影(紙などに押した印章のあと)が書類を作成した者が所持しているモノと一致していることを証明するものです。
ですから印鑑証明書をもらうためには、公的機関に対して印鑑の届け出をあらかじめ済ませる必要があります。
個人の方々はそれぞれ市町村に届出をおこなうことになります。
法人の方々は、設立の時法務局への登録をすることが義務です。
個人の実印が意味するもの
発起人や取締役、代表取締役の役員の方が書類に実印を押すことになります。
定款の認証、就任承諾書、会社実印の印鑑届出などに個人の実印を使用します。
実印は日常生活で頻繁に登場する言葉です。
しかし個人の実印がどのようなものかわからないという声も多く聞きますのでここで少し詳しく解説します。
実印は印鑑を登録申請し、受理されたもののことをいいます。
印鑑は実印に見るような、いかにも高級な印鑑であったとしても実際に登録が済んでいないと実印という言うことができません。
ですから実印と印鑑証明は深くつながる関係だということがわかります。
高級な印鑑が実印のようにみえてしまうかもしれませんが、結論、実印は百均ショップの印鑑でも問題はありません。※自治体によっては実印の登録はできないことがあります。
百均ショップで購入した印鑑でも登録を済ませることができれば、それが実印です。
また実印にはさまざまなハンコがありますが、最も大事なハンコであり大事に扱わなければならないものです。
法律上では社会上の権利または義務の発生を伴う印鑑のことです。
法人の発起人になろうとすれば実印が必要であり、役場などに提出する際の公正証書の作成時、住宅やクルマを購入する時など契約に実印は使用されることになります。
印鑑を通販サイトで買うのは危険な理由
インターネットでは、インターネット通販で印鑑を購入することは危険という内容のものを見かけます。
これから実印を用意しなければならない方々にとってちょっと気になる問題ではないでしょうか。
インターネット通販で印鑑を購入することが危険と言われ理由は、安く印鑑を販売するために低クオリティーの素材を使用している、個人情報を安易に提供してしまうので偽造や悪用される可能性が高いなどがあげられます。
結論をいえば、インターネット通販ショップが不安ということではありません。
インターネット通販ショップもしっかり印鑑に取り組み作っている業者がほとんどですし、実店舗である以上、このような噂がささやかれているため慎重に印鑑と向きあっているともいえます。
インターネット通販ショップで作られる機械彫りの印鑑は、機械彫りで作成したあと、手仕上げの工程を加えていることが多いです。
まずは機械彫りで粗削りしたあとに丁寧に手作業で仕上げをしていきます。ですから、同じ印影になることはありません。
会社設立に必要な印鑑証明書にともなう2つの実印
いよいよ会社設立という々は新しいスタートラインです。ここから新しい挑戦の日々が続くことになります。
会社設立時には「個人の実印」と「会社の実印」の2つが必要です。
個人の実印が必要
発起人や取締役、あるいは代表取締役の役員の方は、前述でお話した個人の実印を用意して書類に印を押すことになります。
また実印と同時に印鑑証明書を取得しておく必要があります。
会社でも個人と同様に実印が必要です。設立の登記を申請するときに法務局へと会社の実印を届け出て登録を済ませる必要があります。
定款の認証は、発起人が個人の実印を使用して公証役場に提出します。
就任承諾書は取締役会を設置していない会社は、代表取締役が法務局に届け出るため個人の実印が必要です。
次のステップは会社実印の届出です。
印鑑を届け出る代表取締役が、会社の実印と個人の実印を用意して法務局で届けを行います。
資本金払込証明書などは、代表取締役が会社の実印を使用して法務局に届けを行います。
発起人が発起人決定書などを法務局に提出する場合は認印でも大丈夫です。
会社の実印が必要
今まで個人の実印について解説をしましたが、個人の実印に対しては比較的自由が許されています。
しかし会社の実印と向きあう方は、個人の実印とは別物であるという認識を持つ必要があります。
会社の実印には制限やルールがあります。
実印は辺の長さが1㎝を越えたもの、3㎝の正方形に収まるものです。
18㎜が最も一般的ですが、大きめの21㎜も比較的好まれるサイズです。
また実印は照合に適するものである必要があります。
そのため外枠が欠けてしまっていたり、印影が明確ではないものは会社の実印としては向いていません。
このような要件を満たすことができれば、おおかた四角い実印でも三角の実印でも問題はありません。ただし一般的には会社の実印としては丸印が一般的です。
会社の実印に会社名は必要ということではありません。
ですから代表取締役個人の印鑑を会社の実印として登録はすることができます。
しかし混乱をしてしまうことも多々あるので、基本的にはすでに会社の印鑑と個人の印鑑は別という認識でいらっしゃることでしょう。
会社の名前が入っているものを会社の実印として使用しているケースはとても多いです。
会社の実印も登録を済ますことができれば、個人の実印と同様に法務局から「印鑑カード」が発行されることになります。
会社の実印の特徴
会社の実印の特徴は丸印の場合、二重丸に文字を配置していることです。
丸印外側を取り囲んで彫刻してある字体で何が書いてあるかわからないという方々もいらっしゃると思いますが、それは会社名です。これを「回文」といういいます。
なかには「代表取締役之印」、「銀行之印」、「理事長印」といった文字が縦書きに刻まれています。これらを「中文」といういいかたをします。
会社の実印は法人の実印であり個人の名前はここに入りません。
個人名を入れてしまうことで社長が替わったというときには、再び会社の実印を作り替えなければならない手間が出てくるからです。
回文と中文が二重構造となっているのも個人の印鑑と会社の印鑑を区別するためにあるといわれています。
なにを書いてあるかわからないような文字は、縁起の良い「吉相体」で彫刻がされています。
吉相体は会社名の画数を吉数に整えて、八方位と呼ばれる運気を込めて彫刻された今後の社運を期待することができる字体です。
法務省に登記することができるサイズは、30㎜未満である必要があります。
それぞれ会社の方は大きな印影が信頼の証であるという判断の仕方をし、あえて大きめのものを選択していらっしゃるようです。
会社設立で印鑑証明書を発行してもらう手順
会社設立には、会社の印鑑証明書の交付が必要です。
法人の印鑑証明書を申請する方法は、
- 法務局
- 登記所の窓口申請
- 証明書発行請求書
- 郵送
- オンライン
の選択肢があります。
原則では印鑑証明書を請求することができるのは、会社の代表者ということになります。
しかし委託された代理の方々でも申請はおこなえます。
法務局の窓口申請する場合
法務局の窓口申請の方法を解説します。
会社設立をして本店が置かれている本店か支店の所在地を管轄している法務局において申請することが一番多くの方がされている一般的な方法です。
どこが管轄している法務局なのは調べるのはこちらのホームページからすることができます。
まずは法務局へ出向いていただき、印鑑証明書の交付申請書を作成し提出をします。
交付申請書には会社の商号や、本店(法人の名称&住所)、印鑑を提出する者の資格、名前、生年月日、さらに、印鑑カードの番号を記載することになります。
次のステップは、手数料の支払いです。
収入印紙、また登記印紙を買って交付申請書に添付し、印鑑カードと一緒に窓口に提出します。以上の手順で印鑑証明書を発行してもらえます。
印鑑カードについては別の項目で解説をします。
窓口には、証明書発行請求機が置かれてあることがあります。
そのような場合は申請書を作る必要はなく、証明書発行請求機を操作をして証明書を交付窓口から受け取ることができるようになっています。
郵送で申請する場合
会社実印の印鑑証明書は郵送でも申請をおこなうことができます。
法務局の公式ホームページをチェックしていただき「申請書様式」→「印鑑証明書交付申請書」のPDFまたはExcelどちらかを選んでいただき、ダウンロードします。
プリントは、B5かA4で行います。
あとは窓口の申請と同じ手順になりますが、 会社の商号、本店(法人の名称&住所)、印鑑提出者の資格、名前、生年月日、そして印鑑カードの番号を記載し、印鑑カードと返信用封筒・郵便切手を一緒に郵送します。
印鑑カードは大事に管理しなければならないものなので安易に普通郵便を使用してしまうのはリスクがあるので、書留であったり配達証明などを利用するといいでしょう。
オンライン申請する場合
法務局の「登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと」における「申請用総合ソフト」を使用することで、会社のパソコンからでも印鑑証明書の申請をおこなえます。
詳しくは以下のページをご覧ください。
URL:https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/flow/sogosoft/kankyo.html
印鑑証明書の申請をすることができれば、受取先に指定した法務局、法務局証明サービスセンターの窓口、さらに郵送してもらうかどれかを選択できます。
会社設立の印鑑証明書取得に必要な「印鑑カード」とは
法務局では窓口申請、郵送の申請、オンライン申請という方法を選択することができます。どの方法をチョイスしても印鑑証明書の申請には印鑑カードが必要となっています。
印鑑カードは法務局に対して印鑑カード交付申請書を提出すれば取得するできます。
そして印鑑カードを作るために絶対に必要なものが会社の実印ということになります。
登記時の「会社法人等番号」を記入しなければならない欄があります。
会社法人等番号とは、登記所での手続に使用とされる登記所が商業登記、法人登記の登記記録1件につき記録をしている会社、法人などの数字12桁からなりたつ番号です。
こちらが国税庁法人番号公表サイトです。
こちらのホームページでは、正確に言えば法人のマイナンバーが検索をすることができます。
代表する者でない代理人が手続きをする場合は、委任状欄がありますので記入が必要です。
また印鑑証明書と同じように、印鑑カード申請も郵送でおこなえます。
こちら「印鑑カード交付申請書」のPDFoかExcelをプリントし、必要事項を記載、捺印をして郵送します。
そのとき返信用封筒と郵便切手も忘れないように送ってください。
会社設立の印鑑証明書取得で注意しなければならないポイント
会社設立の印鑑証明書取得申請は法務局でおこなうので、当然ですが業務が終了している時間に出向いても対応してくれません。
法務局での印鑑証明書取得の申請手続きは、平日の8時30分から17時15分まで可能です。土日祝や年末年始はお休みです。
郵送やオンラインを使用するケースでも法務局の休みを配慮して送るといいでしょう。
オンラインでは法務局証明サービスセンター窓口に指定した場合、受取可能時間が平日8時30分から16時30分です。
また受取を法務局にした場合は以下のファイルを確認してください。
URL:https://www.moj.go.jp/content/001282185.pdf
現在コンビニでも個人の印鑑証明書取得は可能です。
会社の印鑑証明書取得も可能と考えてしまうかもしれませんが、会社の実印の場合は法務局においてのやりとりが必要なのでコンビニではNGです。
会社設立後に法人の印鑑証明書を取得するためには、印鑑カードが必要という認識が大切です。
会社設立に印鑑証明書がいる印鑑・いらない印鑑
会社設立には会社の実印以外に、
- 会社銀行印
- 会社 角印・認印
- ゴム印
などが必要となります。
会社銀行印とは
会社設立を考える方は、会社銀行印と会社実印の区別もしっかりおこなう必要があります。
会社銀行印は会社の実印と兼用で使用することができます。
しかし兼用で使用してしまうことでいろいろと不都合なことも起きてしまう可能性があるので注意が必要です。
会社の実印と会社銀行印は印影の違いはないといっていいでしょう。
ただし会社銀行印をもしも落としてしまった場合、会社の意思決定もおこなうことができなくなってしまうからです。
お金の管理もスムーズには出来なくなるでしょう。
また銀行から融資を得たいという場合、会社銀行印だけでなく代表者印も必要です。
そのような意味で別々の印鑑という扱いをしておくことが無難です。
会社銀行印は会社設立をして銀行口座を開設するときであったり、口座の預金を銀行から支払ったりするときにあらかじめ銀行に届けてある印鑑のことです。
会社銀行印と会社の実印は外側には会社名、内側には「代表取締役之印」が彫刻されてあるという意味あいでは同じです。
ただし銀行印は内側は「銀行之印」、「会計之印」となります。
角印・認印とは
会社で使用する角印・認印はいわば社印です。
角印は、四角形の形で社名だけを彫刻した印鑑です。
会社で角印は認印としての役割を担っています。
見積書や請求書、領収書などに押印をします。会社では非常に頻繁に使用する印鑑です。
ゴム印とは
ゴム印は住所印とも言われています。
「会社名」「住所」「電話番号」などが記載されたゴム製の印鑑です。
こちらは絶対に用意しなければならない印鑑ということではありませんが、業務をスムーズにおこなうための必須アイテムです。
まとめ
いかがでしょうか。
今回会社設立時必要な印鑑証明書について解説をしました。
会社設立時は個人の実印と会社の実印が必要です。まずはそれらを混乱しないようにしてください。
会社設立時、印鑑証明書は当然必要となるアイテムです。
そのようなものは慌てないであらかじめ用意しておく姿勢を持つと会社設立もスムーズにおこなうことができます。
会社設立をいざしようと思えば、膨大な事務の手続きであったり届け出の作業が必要となり、実印のことなどに対してなかなか向きあう時間がないという方々が非常に多いです。
スムーズな会社設立をしたいなら、まずは個人の印鑑証明書を用意することを忘れないでください。