【税理士が解説】freeeを使った会社設立のメリットとデメリット

近年、会社設立の手続きがインターネットで簡単にできるようになり、多くの起業家が活用するツールのひとつに「freee」があります。freeeはクラウド型の会計ソフトとしても知られていますが、会社設立手続きにも対応しており、初めての起業でもスムーズに進めることができる点で人気です。

しかし、便利な一方で、freeeを利用して会社設立を行う際にはいくつかのデメリットも存在します。この記事では、freeeを使った会社設立のメリットとデメリットを詳しく解説します。

freeeは、個人事業主や法人向けに会計や経理の機能を提供するクラウドソフトですが、会社設立のためのサービスも提供しています。設立時に必要な書類の作成から法務局への申請に至るまで、オンラインで完結できるシステムが特徴です。

1-1. 会社設立手続きの自動化

freeeでは、会社設立に必要な情報(会社名、代表者名、事業内容など)を入力すると、自動で定款や設立に必要な書類が作成されます。設立の流れは以下の通りです。

  1. 会社情報の入力(社名、所在地、事業内容など)
  2. 定款の自動生成
  3. 電子定款を利用した印紙代の節約(4万円の印紙代が不要)
  4. 必要書類の印刷と提出準備

freeeの手順に従えば、複雑な書類作成や手続きに慣れていない人でも簡単に設立準備を進められます。

1-2. 司法書士や専門家に頼らず進められる

freeeのサービスを利用すれば、司法書士や行政書士に依頼する必要がなく、すべて自分で手続きを行うことが可能です。そのため、専門家に依頼する場合の費用を大幅に削減できます。これは特に初期コストを抑えたいスタートアップや小規模事業にとって大きなメリットです。

1-3. 電子定款の活用

freeeは、会社設立時に必要な定款を電子定款として作成する機能を提供しています。通常の紙の定款の場合、4万円の収入印紙が必要になりますが、電子定款を利用すればその印紙代を節約できます。さらに、電子署名を活用することで、紙でのやり取りが不要になり、手続きのスピードも向上します。

freeeを利用して会社設立を行うことには多くのメリットがあります。以下では、その主なメリットを具体的に見ていきます。

2-1. コスト削減

最も大きなメリットは、設立費用を削減できる点です。通常、司法書士や行政書士に依頼すると数万円から十数万円の手数料が発生しますが、freeeを利用すればそのコストをカットすることができます。また、前述のように電子定款を利用することで印紙代も節約できます。

2-2. 手続きがシンプルでスピーディー

freeeの会社設立サービスは、シンプルな操作で手続きが進むため、専門的な知識がなくても問題ありません。必要な情報を順番に入力するだけで書類が作成され、手続きのガイドに従うことで、短時間で会社設立を完了できます。特に、時間をかけたくない起業家にとって、freeeは効率的なツールです。

2-3. 電子定款による節約

紙の定款に比べ、電子定款を利用することで収入印紙代4万円を節約できます。これは、特に初期資金が限られている場合には大きなメリットです。freeeはこの電子定款を簡単に作成できるため、コストパフォーマンスを重視する方にとって理想的な選択肢と言えるでしょう。

2-4. クラウド会計ソフトとの連携

会社設立後、freeeのクラウド会計ソフトをそのまま利用して、日々の経理や会計業務を効率的に行うことができます。設立時に入力した情報がそのまま会計データとして反映されるため、会計処理がスムーズに行えるという点もメリットです。

便利なfreeeですが、利用するにあたってはデメリットも存在します。これらの点を理解しておくことは、後悔しないためにも重要です。

3-1. すべて自己対応が必要

freeeを使うことで、司法書士などの専門家に依頼せずに会社設立を進められるというメリットがある一方で、すべての手続きを自分で行わなければなりません。設立に関する基本的な流れはガイドがあるため簡単ですが、特別な事例や複雑な会社形態の場合には、専門家のサポートが必要なことがあります。

例えば、株式の発行数や役員報酬の設定など、個別に検討すべき事項が多い場合、誤った手続きを進めてしまう可能性があるため、事前にしっかりと調査しておく必要があります。

3-2. 複雑な事業には不向き

freeeの会社設立サービスは、シンプルな事業形態に向いています。一般的な株式会社や合同会社であれば問題ありませんが、複雑な事業形態や、外国企業との合弁会社、非営利法人など、特殊な条件が必要な場合には対応が難しいことがあります。

そのため、特定の要件を満たすために、個別のアドバイスが必要な場合は、freeeだけで手続きを完了するのではなく、司法書士や専門家の助けを借りることが推奨されます。

3-3. サポート体制に限界がある

freeeにはヘルプページやFAQが充実しているものの、トラブルが発生した際のサポートはオンライン上での対応が主となります。専門家による個別の相談やサポートを受けたい場合には、別途サービスに申し込む必要があり、問題が複雑化した場合にスムーズに解決できない可能性があります。

また、サポートはチャットやメールで提供されるため、電話での直接対応を希望する場合には、物足りなさを感じることもあるかもしれません。

3-4. 設立後の税務手続きに注意

会社設立後、freeeの会計ソフトをそのまま利用することができるものの、税務申告社会保険の手続きは別途対応が必要です。税務署や社会保険事務所への届出や書類作成が苦手な場合には、税理士や社会保険労務士といった専門家のサポートが欠かせません。

特に、複雑な税務や資金調達に関する対応が必要になる場合、freeeの基本的な機能では対応しきれないことがあります。

3-5. アフターケアが弱い

会社設立後のアフターケアが弱いという指摘もあります。freeeは設立手続きを自動化することに強みを持っていますが、その後の経営支援や税務に関するアドバイスは充実しているとは言えません。設立後も継続的なサポートが必要な場合、税理士やコンサルタントとの連携が必要になります。

freee以外にも、会社設立をサポートするサービスは複数存在します。それらと比較した際のfreeeの特徴について見ていきましょう。

4-1. freee vs. マネーフォワードクラウド

マネーフォワードクラウドも、クラウド型の会計ソフトとして知られていますが、会社設立手続きもサポートしています。機能面ではfreeeと似た部分が多いですが、マネーフォワードクラウドは特に中小企業向けの機能が充実しており、複数の事業を展開する企業には有利な点があります。

一方で、設立手続きの簡便さや費用の面では、freeeの方がシンプルで低コストなため、初めて会社を設立する場合にはfreeeが適している場合が多いです。

4-2. freee vs. 司法書士への依頼

司法書士に会社設立を依頼する場合、手続きの正確性や専門的なアドバイスを受けられる点で安心感があります。しかし、費用が高くなりやすく、数万円から十数万円の費用がかかるため、特に初期費用を抑えたい企業には不向きです。

freeeを利用すれば、手続きのスピードと費用の両方を抑えることができるため、シンプルな事業形態であれば司法書士に依頼するよりも効率的です。

freeeを使った会社設立は、コスト削減や手続きの簡便さという点で、特に初めて会社を設立する起業家にとって非常に有効なツールです。電子定款を活用して印紙代を節約できる点も大きなメリットです。

一方で、全ての手続きを自己対応する必要がある点や、複雑な事業形態には対応しにくいというデメリットもあるため、自身の事業内容に合った選択肢を考える必要があります。

freeeは、スピーディーに会社設立を進めたい方や、コストを抑えつつ簡単な手続きで会社を立ち上げたい方に適しています。設立後の税務や経理についても、freeeのクラウド会計ソフトを活用すれば、効率的な運営が可能となりますが、複雑な手続きが必要な場合は、専門家のアドバイスを受けることも検討しましょう。

このように、freeeは多くのメリットを持つ一方で、その限界を理解しながら適切に活用することで、スムーズな会社設立と運営を実現できます。

ぜひ、経営サポートプラスアルファにご相談ください。

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