見せ金による資本金で会社設立はできるのか!?見せ金のリスクやデメリットを公開!

会社設立の際には資本金が必要です。

会社法改正によって「1円会社」の会社設立が可能になりましたが、実際には1円で立ち上げても、資本=純資産が1円しかないなかで事業を始めても、現預金がないので急な資金需要に対応できません。

また金融機関も資本金が極端に少ない会社に対してはリスクを感じ、融資に慎重になります。

顧客も「1円会社」ないし極端に資本金が少ない会社に対しては、疑惑の目で見る可能性があります。

ある程度資本金を高くするのは、対外的な信用を得るために不可欠で、そのための方法として「見せ金」があります。

見せ金がどのような方法なのか、そして見せ金はやってよい方法なのか、今回解説していきます。

本来資本金は、発起人が自己資金を集めたり、株式を発行して出資者から集めたりして会社設立の際に純資産、資本として計上するお金になります。

銀行口座に振り込むことで、キャッシュフローとして事業の運転資金や何かあったときの設備資金などに充当します。

融資によらない余剰資金ということで、会社経営の際には非常に重要です。

「見せ金」は本来、自己資金や株式発行で集める資本金を、会社設立の際だけ第三者(友人、知人)などから借り、会社設立後すぐに返済する方法です。

会社設立時には確かに資本金額が口座にありますが、一時的に借りたお金なので、会社設立後すぐに返済し会社のものではなくなります。

一時的に資本金として見せるお金ということで、「見せ金」と呼ばれています。

一時的に資金があるように見えますが、実際にはキャッシュフローが回りません。

見せ金は違法行為になります。

見せ金によって金融機関や顧客が騙される可能性もあります。

悪質で許されません。

見せ金によって資本金が実在するかのように偽装して会社登記を申請します。

会社設立登記は公正証書の原本になります。この公正証書に不実(真実ではない)の記載や記録がなされることになるため、「公正証書原本不実記載等罪」になる可能性があります。

この「公正証書原本不実記載罪」は刑法157条の規定で、5年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。

さらに、会社法第52条の「出資された財産等の価額が不足する場合の責任」違反になる可能性もあります。

同法では発起人と取締役に払い込みが足りない場合、発起人に対して、出資金額の全額を支払う義務を定めています。

また「資本金の仮装」に該当することもあり得るので、深刻に考えなければなりません。

黙っていれば見せ金とバレないのでは?と思われるかもしれません。

会社設立時に、口座に資本金があったのは事実です。

それ以降、どのようにお金を返済しても、会社のキャッシュフローが回らなくなっても、それが第三者に気付かれるということはあるのでしょうか?

実は以下のような理由でバレる可能性があります。

不自然なお金の出入りがある

銀行口座に急に500万円の入金、それも自分名義ではなく他人名義で見せ金の振り込みがあれば、銀行の担当者が気づきます。

そうではなくても、創業融資などを申し込む際、直近の銀行通帳のチェックがあります。

ある人からある日500万円振り込みがあり、会社設立日以降、500万円逆に引き出してみなさんが元の人へ返済するなどすれば、「このお金は見せ金ではないか?」と気付かれてしまいます。

不思議なお金の出入りは、金融機関の担当者ならば簡単に見抜いてしまいます。

振込先が個人名になっている

自社の通帳に入金してきた人が個人、あるいは自社が(見せ金返済のために)支払いした宛名が個人の場合、見せ金を疑われます。

会社設立以前に個人事業主として事業をしていて、クライアントも個人だったということが証明できれば(請求書などで)良いのですが、そうでない場合、会社の口座に、事業と関係ない個人の入出金があることになります。

見せ金でなかったとしても、会社のお金で個人とプライベートなお金のやり取りをしていることは非常にマイナスです。

融資の際にも必ず指摘され、説明できなければ大幅原点になるポイントです。

個人から見せ金としてお金を借りると、このようにして簡単にバレてしまいます。

決算書などでバレる

見せ金は、いったんは資本金に計上されますが、それと同額を借りた個人へ返済する時に「出資者貸付金」として資産の部へ計上します。

決算書や確定申告書に「出資者貸付金」という勘定科目が記載されると、見せ金と判断され、金融機関からの評価が大きく下がります。

見せ金であることは、いずれにせよ金融機関によって見抜かれてしまいます。

「出資者貸付金」を記載せず見せ金を返済することはできません。

記載しないということは借りていないことになり、返済するのがおかしくなるから整合性が取れなくなります。

言い訳はNG!

とっさに「宝くじに当たった」などとウソをついてもバレます。

宝くじやTOTOなどに当たった場合、通帳には「トウセンキン」と印字されます。

個人名や会社名ではないので、ウソがばれてさらに印象が悪くなります。

偽証罪に問われる可能性もゼロではなくなります。

見せ金がバレることで被るメリットはなく、デメリットしかありません。

どのようなデメリットがあるのか解説します。

法的な処罰を受ける

最初に書いたように、見せ金は「公正証書原本不実記載等罪」に問われ、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることがあります。

会社法違反のリスクもあります。会社法違反は懲役刑などの罰則規定はないものの、今後の商取引で重大な影響を受けます。

会社法違反する会社と取引したいクライアントはいないはずです。

融資に際して大幅減点になる

融資の際に見せ金が発覚すると、大幅減点になります。

よほど、見せ金に悪意がなかったと証明できない限り、融資は受けられなくなります。

融資を申請した金融機関にはその情報は残りますから、以降も借りることは難しくなります。

また信用できない会社になるので、信用情報に掲載される可能性があります。

各金融機関で見せ金の事実が共有されれば、他の金融機関での融資も難しくなり、ブラックリスト入りしてしまう可能性があります。

そうなると資金調達手段が、一部の消費者金融、ファクタリングなどに限られてしまいます。

見せ金に課税される可能性

見せ金は本来の修正ではなく一時的に借りたものなので、役員貸付金として出資した代表者等にお金を貸し付けるという処理を行います。 

「会社設立直後に代表者等の役員、出資者へ高額(資本金相当)のお金を貸し付けている」ということになり、それを放置すると、会社から出資者(≒役員)へ役員報酬を支払ったという構図になります。

役員報酬は給与所得なので所得税の課税対象になる可能性があります。 

会社設立が無効になる可能性

過去の判例で、見せ金による会社設立を無効とする判決が過去に出ているため、注意が必要です。

<あわせて読みたい>

見せ金はやってはいけないことがわかりました。

しかし一定額の資本金が必要な場合どうすればよいのでしょうか?

資本金調達法を考えます。

金融機関の創業融資で資本金以外を調達する

銀行などから融資を受けてそれを資本金に充当することはできません。

資本金は、自己資金や賛同者による出資でまかなうことが必要です。

したがって「資本金〇〇〇万円必要なので融資を受けたい」ということはできません。

融資で調達できるのはそれ以外の開業資金です。

なるべく、創業融資などで必要な自己資金の比率が低いものを選びましょう。

資本金300万円 その他開業資金300万円 自己資金400万円 で事業を始めたい場合
①     自己資金50%必要な創業融資→資金調達できない
②     自己資金1/3でできる創業融資→200万円融資、100万円自己資金で調達可能

となります。

もちろん、金利も重要ですので、資金調達に強い経営サポートプラスアルファなどの開業専門家に相談しましょう。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

クラウドファンディングで調達

クラウドファンディングなど寄付を募って資本金に充てるのは問題ありません。

達成された時のリターンを何にするかなど検討項目は多いですが、寄付者が経営に関与することもなく、安全です。

どれだけ寄付者に訴える会社の事業内容にできるかなど、よりクラウドファンディングの目標をアピールでき、共感が得られるものにしなければなりません。

今ある自己資金で会社設立する

会社法改正で最低資本金制度がなくなりました。

「1円会社」でも立派な会社です。

仕入などをしなくてもできる事業内容なら、まず会社設立を優先し、資本金10万円などで初めて、徐々に増資してもいいでしょう。

「資本金〇〇〇万円は絶対に必要だ」という考えをもう少し柔軟にしてみましょう。

在宅、パソコンででき、仕入れ不要ならば無理に資本金を調達しなくてもできるかもしれません。

見せ金は犯罪であり、バレるリスク、その際のデメリットが多すぎるためやめてください。

それに代わる資金調達方法や適切な資本金額などについて、ぜひ会社設立専門の税理士法人経営サポートプラスアルファにご相談ください。

会社設立の代行もしますので、細かい部分は丸ごと当社にアウトソーシングしてください。

みなさんは、事業内容のブラッシュアップに注力できます。

経営サポートプラスアルファは土日祝日夜間も対応します。

また、遠隔地にお住まいの方はLINEやZOOM、チャットワークにて全国対応でオンライン相談させていただきます。

過不足ない資本金額を見極め、安定経営に踏み出しましょう。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順
見せ金による資本金で会社設立はできるのか!?見せ金のリスクやデメリットを公開!
最新情報をチェックしよう!