自宅開業も税務調査の対象になる!自宅サロン経営の対税務調査対応を考えます

気軽に自宅の1部屋で開業できる業種に美容業があります。

美容室や理容室など生活衛生業種は保健所の許可が必要ですが、ネイルサロンやマツエクサロン、エステサロンなどは許可不要で自宅の一室をそのまま施術室に転用できます。

自宅サロンとは、自宅を美容サロンとして開放してお客様を呼び、サービスを提供することを指します。

外部にお店を借りずに開業できるので、ランニングコストを抑え、失敗した時のリスクも減らせます。

女性専用などにすれば、安全上のリスクも可能な限り少なくなるため、非常にメリットが大きい開業方法です。

しかし、自宅サロンとはいえ事業所です。

税務調査が来て、申告漏れなどを指摘される可能性はあります。

今回は自宅サロン経営者の方向けに、税務調査のポイントや注意点などを説明します。

せっかくリスクを減らして開業しているのですから、税務調査が入っても問題ないよう適切な対策をしましょう。 

自宅サロン、特に美容業や税務調査を受けやすい業種だと言われています。

全業種平均すると、法人は約3%、個人事業主は約1%程度の事業所に税務調査が入ると言われていますが、美容業はそれよりも多い可能性があります。

令和3年度法人税等の調査実績の概要」(国税庁)

によると

不正発見割合の高い上位10業種の順位が出ています。

不正が多ければ税務調査して税金を取っていくのが税務署の仕事です。

  1.  その他の道路貨物運送 32.8%
  2.  医療保健 31.2%
  3.  職別土木建築工事 29.6%
  4. 土木工事 28.7%
  5. その他の飲食 28.4%
  6. 化粧品小売 28.0%
  7. 美容 28.0%
  8. 機械修理 27.9%
  9. 一般土木建築工事 27.3%
  10. 貨物自動車運送 27.3%

業種の横の数字は不正発見の割合です。

申告漏れや脱税、無申告などがおおよそこの割合で見つかります。

これは法人税の税務調査実績ですが、個人事業主が支払う所得税についても似た傾向があります。 

自宅サロンは6位、7位の「化粧品小売」「美容」に該当します。

エステやマツエクサロンなどは美容業ですし、そこで化粧品を売ることも多いでしょう。

自宅サロンは不正発見されやすい業種の特徴を兼ね備えていると認識してください。

税務調査は脱税や申告漏れが疑わしい事業者だけではなく、ランダムに健全な経営を行っている事業者も選ばれています。

税務調査の連絡が入ったからと言って「疑われている」「やましいことがある」わけではありません。

もちろん、税務署的に怪しい事業所がターゲットになりやすいのは事実ですが、それ以外の事業者にも税務調査します。

自宅サロンが狙われやすいのは、現金商売をしているところが多いからです。

小売店ならばレジを打ちますが、自宅サロンでレジを打つところは少ないです。

レシートや領収証を発行しない自宅サロンも多く、当然、こうした状態では売上を適切に計上していないのではないか?と税務署が疑います。

本来計上すべき売上をなかったことにすれば、所得隠しであり、所得税や消費税の脱税につながってしまいます。

また、サロンによっては化粧品をお客さんに売るところもあります。

安く仕入れ、高額で売る。ここまでは問題ありませんが、それを売上として計上しないパターンがあります。

当然、売上に計上しないことは所得隠しや脱税につながります。

自宅サロンというオーナーとお客様しかいない個室環境では、どのような現金の授受があるか周囲の目がないのでわかりません。

振り込みであれば証拠に残りますが、密室現金商売という中では、正確な売上が担保されず、それゆえ税務調査によってしっかり確認したいという税務署の意向につながります。

自宅サロンでも、開業にあたり、

  • 免許が必要なもの:マツエクサロン(美容師)、フェイシャルエステ(美容師)、「マッサージ」(あん摩マッサージ指圧師)
  • 免許が不要なもの:ネイルサロン、エステサロン、リラクゼーションサロン、整体など

に分かれます。

首から上の施術には美容師が必要、あと「マッサージ」と謳うとあん摩マッサージ指圧師資格が必要になります。

エステやリラクゼーションは資格不要、ネイルも不要です。

免許が不要なものは、施術者(オーナー)を特定することが難しく、どこの誰だかわからないので、より税務調査が入りやすい可能性があります。

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税務調査に入られた場合、どのようなものを税務調査官にチェックされるのでしょうか?

自宅サロンならではのチェックポイントもあるので注意してください。

家事按分が適切か

自宅サロンなので、家賃や水道光熱費は業務の仕事割合に応じて家事按分できます。

按分なので、プライベートで使っている時間、空間と自宅サロンの仕事で使っている時間、空間の比率で適切に処理されていることが大切です。

家賃や電気代を100%自宅サロンの経費として計上しているのは当然アウトです。

外部サロンを借りているならそれでよいですが、自宅で開業しているので、その配分についてしっかり税務調査の中でチェックされます。

どのくらいの配分が適切なのか、ある程度大目に見てもらえるラインもあるようで、そのあたりは税理士の意見を聞きながら進めるべきです。

経費を適切に計上しているか

家事按分する経費以外の経費についても適切に計上しているかチェックされます。

自宅サロンのオーナーが接待交際費を支出する機会は少ないでしょう。

まったくないとは言いませんが、明らかにメーカー営業と同じくらいの割合で接待交際費を計上していたら疑われます。

また、美容グッズや化粧品をお客ではなく、自分で使う場合は、「自家消費」として計上しなければなりません。

お店の経費で買って自分で使うのはNGです。

そのあたりも在庫と売上を照らし合わせて税務調査の中でチェックされます。

現金授受、現金出納帳を完備しているか

レジがあればそれを印刷したものと実際の確定申告書や仕訳帳を比較できますが、現金のやり取りだけで何も残していないと、売上計上漏れを指摘されます。

現金出納帳や入金台帳の完備は青色申告の条件でもあり、それがないと青色申告特別控除をはく奪されてしまいます。

現金授受の証拠がないと、適切な経理処理や売上計上をしていないと税務調査で指摘されてしまいます。

周囲のサロンに比べ売上が極端に少なくないか

みなさんの自宅サロン以外にも周囲に似たような自宅サロンがあります。

そこの売上と比較して著しく少ない場合、計上していないこと=脱税を疑われてしまいます。

もちろん、事故や病気の期間があった、家庭の事情で営業時間が限られるなど合理的な理由があれば大丈夫ですが、そうでない場合(フルタイム営業している場合)、説明できるようにしましょう。

現金商売の場合は特にしっかりした説明が求められます。

自宅サロンに財務調査に入られ、税務署の指摘を受けて修正申告をする場合は、本来払うべき税金に加えて、追徴課税される可能性があります。

流れとしては、修正申告書を自分で作成して税務署に提出します。

修正申告と更正の場合、不足していた税額や延滞税、過少申告加算税などを納めますし、悪質と判断されると重加算税という重大なペナルティが科されます。

不足していた税額
・過少申告加算税:10%
・不申告加算税:15%~20%
・不納付加算税:10%
・延滞税:7.3%~14.6%
・重加算税:35%~40%(悪質な脱税の場合)

税務調査の結果これらを納税しなければなりません。

不服申し立てもできますが、論理的に説明するのはかなり難しく、やはり普段の会計処理をしっかり行うしかありません。

よほど故意で悪質な場合(大企業の数億円単位の脱税)以外は刑事事件にはならないはずですが、可能性はゼロではありません。

少なくとも故意で悪意があると思われないように適切な会計処理と申告をお願いします。

なお税務調査で重加算税を科された場合などは、翌年以降も税務調査が入る確率が上がります。

会計処理にミスがないのが大切です。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

自宅サロンは気軽に開業できる反面、現金中心のやり取りや、経費の家事按分などから税務調査で指摘を受けやすい傾向にあります。

税務署の調査官は細かいミスも逃しません。

税務調査官に指摘されない会計処理をするためには、オーナー一人では難しく、税金のプロフェッショナルである税理士を顧問にした方がよいです。

 自宅サロンは個人事業主でやっている方が多いと思われますが、売上が多い場合の節税や経費で認められる幅も広さから、会社設立した方がいいケースもあります。

「経営サポートプラスアルファ」では、土日祝日夜間も対応します。

また、遠隔地にお住まいの方はLINEやZOOM、チャットワークなどでもご相談いただけます。

経営サポートプラスアルファは会社設立に強い税理士法人で、税務調査対策もしっかり対応しますので、ぜひご利用ください。

自宅サロンは気軽に美容や健康をサポートするやりがいのある仕事です。

税務調査対策も万全にするため、ぜひ当社経営サポートプラスアルファにご相談ください。

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