個人事業主も事業税を納める!?概要や計算方法と納付の流れを解説

個人事業主は、一定の条件を満たすことで、事業税を納めなければなりません。

所得などによって変化するため、意識できていない人も見受けられますが、必ず認識しておきたい税金です。

正しく認識できていないと、思わぬ出費になりかねません。

ただ、全ての個人事業主に事業税が課されるのかと問われると、実際にはそうではありません。

事業所得が290万円を超える個人事業主を中心に事業税が課されます。

今回は個人事業税の概要や計算方法、納付に関連する知識を解説します。

個人事業税とは、その名のとおり個人事業主が納める事業税です。

具体的に、どのような税金を納める必要があるのか解説します。

個人事業税の概要

個人事業税は、地方税のひとつであり、個人事業主が都道府県に対して納付するものです。

個人事業主は、事業を営む上で、都道府県から何かしらの行政サービスを受けていると考えられます。これに対する対価として、個人事業税を納める仕組みです。

ただ、すべての個人事業主が同じように行政サービスを受けているわけではありません。

そのため、比較的、行政サービスを受けている業種のみに限って課される仕組みが採用されています。また、個人事業税には控除があるため、本来は納める必要のある業種であっても、個人事業税が免除されることもあります。

個人事業税の対象となる業種と税率

個人事業税の対象となる業種は、法律で定められた70種類のみです。

これらの業種に該当しない個人事業主は、個人事業税を納める必要がありません。

業種には3つの区分があり、それぞれに個人事業税率が以下のとおり定められています。

区分税率業種
第一区分税率5%物品販売業・保険業・金銭貸付業・物品貸付業不動産貸付業・製造業・電気供給業・土石採取業電気通信事業(放送事業を含む)・運送業・運送取扱業船舶定係場業・倉庫業・駐車場業・請負業印刷業・出版業・写真業・席貸業旅館業・料理店業・飲食店業・周旋業代理業・仲立業・問屋業・両替業公衆浴場業(第三種事業以外のもの)・演劇興行業・遊技場業遊覧所業・商品取引業・不動産売買業・広告業興信所業・案内業・冠婚葬祭業・
第二区分税率4%畜産業・水産業・薪炭製造業
第三区分税率5%医業・歯科医業・薬剤師業・獣医業弁護士業・司法書士業・行政書士業・公証人業弁理士業・税理士業・公認会計士業・計理士業社会保険労務士業・コンサルタント業・設計監督者業・不動産鑑定業デザイン業・諸芸師匠業・理容業・美容業クリーニング業・公衆浴場業(銭湯)・歯科衛生士業・歯科技工士業測量士業・土地家屋調査士業・海事代理士業・印刷製版業あん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業・装蹄師業

なお、個人事業主によってはどの区分に該当するか自分では判断できないかもしれません。

納める対象になるのかどうか、悩んでしまうこともあるでしょう。

その場合は、事業所がある都道府県の、個人事業税を管轄する窓口へと確認することが大切です。

個人事業主が納める事業税には、一定の計算方法があります。

また、控除が設けられているため、基本的な計算方法を理解しておきましょう。

個人事業税の計算

個人事業税は、基本的に以下の式で算出されます。

(事業所得・不動産所得の金額 
 + 所得税の事業専従者給与(控除)額 
 – 個人事業税の事業専従者給与(控除)額
 + 青色申告特別控除額
 – 損失の繰越等の控除額
– 事業主控除額)
× 税率

個人事業主としての所得や控除を合算し、その金額に対して上記で紹介した税率を乗じることで個人事業税を計算できます。

なお、所得額を求める際には、青色申告特別控除を事業所得に足し戻しておくことが重要です。

この作業を忘れてしまうと、事業税の算出を誤ってしまい、思わぬ出費が生じる原因となりかねません。

青色申告特別控除は、所得税を算出する際の控除であるため、改めて認識しておきましょう。

個人事業税に適用される控除

個人事業税には控除が設けられていて、この控除を差し引いた金額で課税されるかどうかと納税額が決定されます。

まず、個人事業主として「専従者給与」を支払っているならば、事業税の所得から控除されます。

青色申告の場合は、原則として所得税の事業専従者給与額と同じ仕組みです。

ただ、白色申告の場合は、個人事業主の配偶者であるかどうかによって変化します。

ここで注目してもらいたい点は、事業税に関する控除として「事業主控除額」が定められていることです。

こちらは、年間290万円が控除されるため、控除前の課税所得が290万円以下の場合には個人事業税が課されません。

なお、事業主控除額は、事業を営んだ期間が1年に満たない場合には月割額となってしまいます。

この点は、念のために注意しておくと良いでしょう。

法定業種に非該当

上記で解説したとおり、事業税が課されるかどうかは業種によって変化します。

全ての個人事業主が対象になるわけではなく、そもそも対象外の業種があるのです。

このような個人事業主は、いうまでもなく課税の対象外です。

課税の対象となる業種は、上記で説明したとおり具体的に示されているため、自分自身で把握できるでしょう。

もし、自分自身で判別できない場合は、所轄の税務署に問い合わせしなければなりません。

とはいえ、法定業種はほぼすべての業種を網羅しています。

そのため、基本的に個人事業主として事業を営んでいれば、個人事業税の課される対象になると考えておきましょう。

単年度の事業所得が290万円以下

個人事業主の事業税には、290万円の控除が設けられています。

そのため、単年度の事業所得が290万円以下の場合は、差し引いた後の課税額が0円以下になり、事業税の対象となりません。

この時注意してもらいたいポイントは、売上ではなく事業所得であることです。

単純な売上ではなく、売り上げから経費を差し引いた後の金額が209万円以下であれば課税されません。

売上と課税所得額は異なる数値であるため、その点は注意しておきましょう。

赤字の繰越により所得が290万円以下

単年度の所得が290万円を超えていても、赤字の繰越によって、最終的に290万円以下ならば個人事業税は課されません。

最終的な事業所得で評価することが重要です。

例えば、個人事業主で青色申告を選択していると、赤字の繰越が認められます。

その結果、事業所得が290万円以下に変化することがあるでしょう。

このような場合ならば、事業税の対象外として扱われます。

個人事業主が、事業税を納める対象となった場合、どのような流れで納付するか解説します。

事業税の申告

個人事業主は事業税について申告しなければなりません。

原則として、毎年2月16日~3月15日の間に、前年の1月1日~12月31日の間に得た所得を都道府県税事務所に申告します。

ただ、所得税や住民税の確定申告をおこなっている場合は、個人事業税の申告手続きは発生しません。

確定申告の際に、確定申告書Bの下部「事業税」の欄に必要事項を記入するだけで申告できます。

事前に、事業税の対象になるかどうか算出しておき、課税対象となるならば忘れずに記載しましょう。

なお、何かしらの理由で個人事業税の申告だけが必要になった際は、都道府県のWebサイトなどから申告書をダウンロードして作成、提出するようにしましょう。

都道府県民税事務所からの通知後に手続き

事業税を納める際は、確定申告語に送付されてくる納付書を利用します。

基本的には8月と11月の年2回、事業税の納付を求められるため対応しましょう。

確定申告を期限内に済ませていれば自動的に納付書が郵送されてきます。

なお、納税額が1万円以下ならば、8月の1回だけ納付するルールです。

納付方法はいくつもあり、納付書を利用してコンビニエンスストアなどで支払う方法もあれば、電子納付もあります。

また、口座振替を選択しておくと、自動的に引き落としてもらえるため、事前に設定しておいても良いでしょう。

他にも、クレジットカードやバーコード決済などを利用して納付できる場合があります。

これらの支払い方法を利用すると、支払額に応じてポイントが貯まるため、少しですがお得に支払うことが可能です。

状況に応じて、都合の良いものを選択するようにしてください。

個人事業税はその名の通り税金の一種ではあります。

税金は基本的に経費として計上できませんが、個人事業税については経費として計上が可能です。

「税金は経費に計上できないのではないか」と考える人が多いと思われますが、実は事業税ならば経費として扱われます。

経費として計上できるため、適切に仕分けして帳簿に反映しておくことが重要です。

納税するだけで、正しく帳簿に反映していないと、所得税などが下がりません。

「租税公課」に該当する支払いとして処理するようにしましょう。

なお、個人事業主は、事業で利用している資産に対して課される固定資産税や自動車税、都市計画税なども租税公課として経費に計上できます。

もし、これらの税金を納めているのであれば、今回の事業税と合算して不足がないようにしておきましょう。

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会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

個人事業主が納める税金の中でも、、事業税について解説しました。

各都道府県から何かしらの行政サービスを受けることが多いため、それの対価として、個人事業税を納めることが求められています。

ただ、すべての個人事業主が納める税金ではなく、個人事業税を納める条件があります。

また、業種によって税率も異なるため「課税対象かどうか」「税率はいくらなのか」をそれぞれ正しく理解することが重要です。

なお、個人事業主は経費に計上できるものに限りがあることから「どのように節税すれば良いのか分からない」という人も多いでしょう。

そのような人は、税金のプロである税理士法人経営サポートプラスアルファへご相談ください。

適切な確定申告のサポートはもちろん、税金を抑えるための方法についてもご提案します。

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