IT企業バブルは過ぎ去った感がありますが、まだまだ新興IT企業が会社設立をして、ブルーオーシャン、レッドオーシャン問わず参入してきています。
一度軌道に乗れば多大な利益を生み出すIT企業ですので、多くの起業家が成功を夢見て、社会的ステータスの獲得を目指す人たちが日々参入しています。
今回はIT企業の会社設立、企業についてポイントを絞って解説します。
ぜひ参考にしていただき、必要に応じて専門家のアドバイスを受けてください。
ITといってもさまざまな種類がある!何を起業し会社設立を目指すのか?
「IT企業」と一言で言ってもその中身はさまざまです。
みなさんが起業、会社設立を目指す事業内容はどれにすべきでしょうか?
代表的な事業を挙げます。
大規模プロジェクトのシステム開発
大規模なプロジェクト(国家事業や有名企業などのシステム)を請け負う会社です。
当然、技術力がないと話になりませんし、どこの誰ともわからない新興企業に発注はできません。
どのように過去の実績や技術力、社会的信用をアピールできるかがポイントになります。
自社アプリケーション開発
スマホアプリに代表される、アプリケーションソフトの開発を手掛けます。
当たれば非常に大きな収入が期待できます。
しかし、競争が激しく、リリース即サービス終了というものも多く、アプリにミスがあると大変なことになります。
誰でも使えるものの開発になるので、UIの使いやすさなども重視されます。
若い人をターゲットにするのか、高齢者でも使いやすいものにするのかなど、検討事項は山積しています。
Webの制作を請け負うIT企業の場合
Web、HPの制作を請け負う会社です。実際にHPを制作するだけではなく、そのメンテナンスや修正も一括して行うことになります。
簡単そうに見えますが、サーバーエラーや高負荷がかかった場合の対応など、やらなければならないことが多く、1人ではなかなか難しい事業内容になります。
IT技術者の派遣
企業の要請に応じて、適切な人材を派遣します。
当然、派遣業なのでその許可も櫃世になります。
派遣業は資本金要件もあるので(1000万円以上)、それもクリアしなければなりません。
技術者の確保、そしてプロジェクトの確保も併せて行わないと、技術者と仕事のマッチングができず、どちらも去って行ってしまいます。
仕事を請け負い過ぎて、技術者が確保できないと信用がガタ落ちになり、すぐに倒産の危機につながります。
ハイリスクハイリターンのIT分野だと言えるでしょう。
Eコマース
Eコマース(ネットショップ)の運営です。
実店舗を持たないため初期投資は少ないですが、小売りや卸売り業も兼ねるので単純なITスキルだけではやっていけません。
発注、受注、在庫管理、棚卸しなど、実際の店舗運営と同じ苦労も味わうことになります。
当たれば大きいのもこの分野です。
楽天やZOZOを見ても、Eコマースで成功し日本を代表する企業になりました。
またソフトバンクはもともと、パソコンゲームの卸売りをしていた会社でした。
ネットで集客して実際のものを売ることで、莫大な利益を上げることができるようになります。
アフィリエイトサイトの運営
アフィリエイト広告を貼り付ける記事の作成、HP(ブログ)の運営を行います。
比較的少人数(1人でも)始められますが、Googleで1ページ目に表示されないとまったく収益が出ません。
科学的根拠がある優れた記事で、かつGoogleにはじかれないような内容にしなければなりません。
医療、健康分野は「WELQ」の問題に代表されるように社会的影響が多すぎます。
アフィリエイト報酬が高いからその分野にするのではなく、適切に役に立つ記事を作成します。
IT起業のメリットとデメリットを確認
IT業を起業するメリットとデメリットは何なのでしょうか?以下にまとめてみました。
IT起業のメリット | IT起業のデメリット |
---|---|
パソコン1台から始められる | 1つのミスが致命的になるかも |
場所を取らない、自宅開業も可能 | プログラミングスキルなど高度な技術が必要 |
当てると売上が大きく伸びる | 社会的な影響が(悪い意味で)大きい |
社会的な影響が(いい意味で)大きい | ライバルが多く競争が激しい |
在庫を抱えるリスクがない |
スキルがあればIT起業は将来性がありますが、プログラムができない人のIT起業は相当大変です(アフィリエイトサイトはできそうですが・・・)。
うまく当たると、大きな利益と社会的名声が得られます。
しかし、社会的影響力が良くも悪くも大きいので、有名になってからのミスが命取りになるかもしれません。
事業を拡大しすぎて急ブレーキがかかると、人的コストなどを賄うことができなくなります。
ライバルも多く、例えばアフィリエイトサイトの運営を事業化できている人は、日本で100名(社)に満たないとも言われています。
参入障壁が低い分ライバルが多く、夢を持っている起業家もいるので、その競争は熾烈なものになるでしょう。
勝ち抜くだけの戦略、戦術、そして折れない心が必要になります。
IT起業は個人事業主よりも会社設立・法人化がよい!
会社を設立する場合、大きく分けて法人(株式会社、合同会社等)で起業するやり方と、個人事業主として起業するやり方があります。
IT企業の場合どちらがいいのでしょうか?基本的には最初から会社を設立すべきだと考えます。
IT独立開業時法人化する |
IT事業を個人事業主として行う |
メリット |
|
社会的信用がある(取引先から見て) |
簡単に設立できる |
経費の範囲が広い |
定款などの作成義務がない |
責任の範囲が有限 |
自由な働き方ができる |
赤字繰り越しが10年である |
廃業手続きもすぐにできる |
売上が多くなれば個人事業主よりも税率が下がる |
社会保険に加入できないため、国民健康保険と国民年金では老後が不安 |
最高税率が23.2%と所得税の約半分 |
|
デメリット |
|
設立までの手間がかかる |
社会的信用がない |
設立後の帳票作成や税務申告が大変 |
最大税率45%と法人税よりはるかに高い |
赤字でも法人住民税がかかる |
無限責任で経営失敗のマイナスはすべて自分が負う |
社会保険へ加入しなければならない |
赤字繰り越しが3年までしかできない |
会社の廃業手続きが煩雑 |
経費で落とせる範囲が狭い |
会社設立のメリットは社会的信用が得られることです。
大型システム開発案件を受注したり、大企業のWEBサイトを制作したりしたい場合、法人化して、会社の商業登記簿謄本が取れる状態にしておくことが大切です。
法人登記の際、費用が発生し、諸手続きや会計処理が大変ですが、IT企業なので、そのあたりは電子申告などで十分対応できるはずです。
個人事業主は社会的信用がなく、大型案件や重要案件を受注しにくいでしょう。
ただし、アフィリエイトサイトの運営など、会社名があまり重要でない場合、まず個人事業主として起業するのはありです。
問題は、IT企業の場合、売上が高くなることが多いことです。
アフィリエイトサイトの運営でも、売上数千万円になることがあります。
そうなると、個人事業主では税金面で大きく不利になります。
以下の表を見てみましょう。
事業主体 | 法人化(会社設立) | 個人事業主 |
---|---|---|
所得税 | 代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その5%~45% | 事業の売上から「事業所得」を算出してその5%~45% |
個人住民税 | 代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その約10% | 事業の売上から「事業所得」を算出してその約10% |
消費税 | 課税売上1000万円以上の場合支払う(2年間は支払い義務がない特例もあり) | 課税売上1000万円以上の場合支払う |
法人税 | かかる(15%~23.2%) | なし |
法人住民税 | かかる | なし |
法人事業税 | かかる | なし |
個人事業税 | なし | かかる |
年間売り上げが1000万円を超えるあたりで、法人税よりも所得税の方が高くなります。
個人事業主のままだと支払うのは所得税です。
所得税の最高税率は45%、一方、法人税の最高税率は23.2%で約倍の開きがあります。
アフィリエイトサイトなどの場合、1つ当てると月の売上が数百万円になることもあり、その場合、個人事業主だと半分近く税金で持っていかれます(実際は住民税+10%なので半分を超えることも)。
いつ大当たりになってもいいように、最初から個人事業主ではなく法人化、会社設立しておくのもおすすめします。
結局、IT企業はいずれの業務内容の場合も、起業時には会社を設立しておいたほうがメリットは大きいことがわかります。
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IT起業時の開業資金は業務内容によってさまざま
IT企業は上述のようにその業務内容は多岐にわたります。
アフィリエイトサイトの運営なら、自宅で自分のパソコンを使ってできますが、大型のシステム開発案件を受注しようと思えば、オフィスを借りて従業員を雇う必要があります。
したがって、開業前に
- やりたいこと(事業内容)
- 自宅開業か事務所を借りるか
- 会社設立か個人事業主か
を整理して、商工会議所、商工会や日本政策公庫、自治体の創業窓口などへ行き、開業資金の見積もりを行ってください。
今回ここで、IT起業の開業資金は〇〇〇万円です、と断定できない理由は、事業内容によって事務所の形態やコンピューターの準備などに差がありすぎるからです。
公的機関や金融機関では不安だ・・という方は、資金調達に詳しい「経営サポートプラスアルファ」にお問合せください。
開業形態、事務所の有無(自宅兼事務所か外部で借りるか)、事業内容をもとに適切なプランをアドバイスさせていただきます。
なお、IT派遣を起業したい場合、
- 最低資本金1000万円
- 現金預金 800万円
という試算条件があります(従業員が10名以上の場合、さらに必要資金が増えます)。
現金の調達が不可欠になるので、「経営サポートプラスアルファ」にぜひご相談ください。
IT業界で会社設立、起業をお考えの方は「経営サポートプラスアルファ」に相談をしてください
IT業といっても多様な業務があり、それぞれ必要な準備や経営方法も異なります。
基本的にIT業を起業する場合、会社を設立して法人化した方がいいですが、場合によっては個人事業主として様子見してもいいケースもあります。
みなさんが行いたい事業は、どういう形で開業すべきなのかぜひ専門家のアドバイスを聞いてください。
「経営サポートプラスアルファ」では、会社設立、資金調達、開業後の諸手続き、会計経理、確定申告までみなさんの経営全般をサポートします。
IT業界に詳しいスタッフもおりますのでご安心ください。
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