法人(会社)を設立する場合、さまざまな法的手続きが必要になります。
この国はご存知のように紙ベースのハンコ社会で、どこの行政手続きをする場合も、公的な証明書を得る場合も、紙に印鑑を押し申請していました。
ようやく、電子化、オンライン化が進みつつありますが、まだまだ諸外国と比べれば遅れています。
最近になり、各コンビニなどでマイナンバーカードを用いた公的証明書取得や、電子申告の簡略化が実現しました。
今回紹介する法人設立ワンストップサービスも、そうした行政手続きオンライン化、ペーパーレス化の流れの1つとして実現したものです。
果たして使い勝手がよく、本当に従来の法人設立よりもメリットが大きいのでしょうか?
考えていきましょう。
そもそも法人設立ワンストップサービスとは?
まず、法人設立ワンストップサービスについて簡単に説明します。
「法人設立ワンストップサービス」とはこれまで、マイナンバーカードを使うことで、自宅にいながらさまざまな行政手続きができる「マイナポータル」というサイト上で、本来なら各行政機関で個別に行わなければならなかった手続きをオンラインで完結させることができるようになりました。
「マイナポータル」は年金記録照会、健康保険の利用状況、電子申告、納税状況の確認などができるサイトです。
この「法人設立ワンストップサービス」は2020年1月から始まり、法人設立の際に大きなコストとなっていた、定款認証や登記手続きについても2021年2月より可能になり、現在は法人設立に関する多くのことができるようになっています。
「法人設立ワンストップサービス」はマイナポータルのシステムを利用するため「マイナンバーカード」(個人番号通知カードではなくICチップと写真入りのもの)が必要になります。
法人設立ワンストップサービスで法人設立に関してできることは以下になります。
法人成立に関する手続き | 従来の手続き行政機関 |
---|---|
定款認証 | 公証役場 |
法人(会社)設立登記 | 法務局 |
各種税務手続き | 税務署 |
健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 年金事務所 |
雇用保険関連の諸手続き | 労働基準監督署、ハローワーク |
法人設立前の手続きから法人設立後の諸手続きまで多くのステップを法人設立ワンストップサービスで行えるようになりました。
これで、各行政機関に赴く必要がなくなり、利便性が格段に向上しました。
法人設立ワンストップサービスの6つのメリット
このように法人設立ワンストップサービスでできることはかなり多く、メリットが多くなりました。
ここでは、法人設立ワンストップサービスを利用するメリットを6つ紹介します。
手続が1回で済む
各行政機関に何度も行く必要がありません。
共通する入力事項は1回パソコンから打ち込めばそれが記録されます。
行政手続きは手間がかかる(無駄ともいう)のですが、法人設立ワンストップサービスを利用することで、これらの手続きが1回で済むのが大きな魅力です。
オンラインで手続きできる
オンライン手続きですので、在宅でパソコンとネットがある環境ならば、行政機関に行くことなく法人設立にかかわる諸手続きができます。
当然、行政機関に行くコスト、時間、交通費などが削減できます。
場合によっては第3者のサポートをリモートなどで受けながら入力もできるため、とても効率的です。
24時間365日いつでも手続きできる
法人設立ワンストップサービスはオンライン申請になりますので、行政機関の開庁時間外でも申請できます。
17時以降手続きできないという事態を避けられるので、帰宅後の隙間時間に会社設立手続きができます。
会社員などをしていて副業で会社設立したい方も、これなら会社を休まず手続きができます。
バレることもないでしょう。
会社設立までの期間が短縮できる
複数の行政機関を行ったり来たり、ということがなくなるので、会社設立登記、およびその後の諸手続きの時間を大幅に削減できます。
会社設立までの時間を短縮できるのは、法人設立ワンストップサービスのオンライン申請だから可能なのです。
印鑑届出の手間が削減できる
最初にも書きましたが「ハンコ社会」の日本ではさまざまな場面で押印が求められます。
法人設立についても同様で、通常の手続きでもいくつも押印します。
また「印鑑証明書」の提出が必要な場面もあり、そもそも自治体にご自身の実印を登録していないと何もできません。
印鑑証明書をその都度取得するのも面倒です。
また押印しても不鮮明ということで不受理になる可能性もあります。
法人設立ワンストップサービスなら、印鑑の代わりに電子証明書を使うので、そうした心配がなくなります。
印鑑証明、そのための印鑑の届出、登録、押印の手間などが大幅に削減されます。
業務効率化とエコに役立つ
法人設立ワンストップサービスは全部オンラインで行いますので、ペーパーレス化で紙が無駄になりません。
最近のSDGsの流れにも沿っています。
紙代・印刷代がかからないこと、紙を保管するファイルも不要、それを補完するスペースも不要、ということで大幅に省力化できます。
もちろん、大切な会社設立関連の書面の紛失や盗難、火災等でなくなるリスクもオンラインならばありません。
データ化されるので、紙のファイルから情報を探すよりも簡単にパソコンで検索できます。
電子情報になることで、業務も大幅に効率化されます。
法人設立ワンストップサービスの3つのデメリット
このように法人設立ワンストップサービスにはメリットが多いのは事実ですが、デメリットもあります。
もしデメリットの方が大きいと感じるならば別の方法を考えることになります。
あまり使わないものをわざわざ用意する必要がある
法人設立ワンストップサービスを利用するには
- マイナンバーカード
- カードリーダー(ICチップを読み込むもの)
が必要です。
マイナンバーカードをまだ持っていない方は、まずマイナンバーカードを入手しなければなりません。
今後を考えるとこれを機にマイナンバーカードを作成することをおすすめしますが、現在マイナンバーカードの申請から入手まで3か月くらいかかります。
法人設立を急いでいる方は間に合いません。
またカードリーダーもこれ以外には確定申告くらいしか利用しない人も多く、わざわざ用意するのも面倒だと思われるかもしれません。
ただ、最近はスマホがカードリーダー代わりになるので、ご自身のスマホが情報読み込みに対応していればカードリーダーを購入する必要はありません。
ただ、パソコンとスマホをBluetoothを介して接続しなければならず、そこで手間取る方も多いようです。
他であまり使わないものを用意するのは結構心理的なハードルになります。
かんたん問診の質問が難しい
法人設立ワンストップサービスを利用する際には、マイナポータル上の「かんたん問診」という質問に答えていくことで、必要な情報の入力や資料のアップロードを行います。
しかし「かんたん」と言いながら、結構その内容が難解で、お役所仕事というか、情報が不完全で迷ってしまいます。
Q&Aなどもありません。
例えば、法人設立ワンストップサービス「かんたん問診」の最初の質問が
「法人番号を取得していますか?」
です。
法人を設立する手続きなのに、法人番号って?と思ってしまいます。
そこで「いいえ」を選択すると
「法人設立の手続を実施するには法人番号の取得が必要となります。」
というメッセージが出るだけです。
法人番号についての内容も、法人番号取得のためのページへのリンクもない不親切仕様です。
こういう「かんたん」な質問が延々と続きます。
全然簡単ではなく難しい内容が続いていきます。
社会保険に関する個人ごとの届出書は提出ができない
法人設立ワンストップサービスでできることは最初に挙げましたが、できないこともあります。
あくまで法人設立ワンストップサービスはオンラインで一気にできることが多いだけで「すべてできる」わけではありません。
具体的には社会保険に関する個人ごとの届出書が法人設立ワンストップサービスでできません。
したがって、年金事務所に出向く必要があります。
それなら、ワンストップサービスに含まれる「健康保険、厚生年金保険の新規適用届、資格取得届」の提出は、オンラインではなく一緒に紙ベースで行った方が効率はいいかもしれません。
効率化のためのオンライン申請なのに、紙ベースの申請が残っていては二度手間になってしまいます。
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お手軽に法人設立するなら経営サポートプラスアルファ
以上、「法人設立ワンストップサービス」について説明しました。
多くの法人設立までの手続きがオンライン化されているものの、なかなか複雑で難解な部分もあるようです。
そもそも法人設立は人生で何回も行うものではなく、このために準備をし、オンライン申請のやり方を覚えても次に使う機会がないかもしれません。
個人で法人設立を行う場合、全部マスターしていれば確かに「法人設立ワンストップサービス」は省力化につながりますが、それでも覚えるコストがかなりかかります。
それならば、最初から会社設立にかかわる一連の手続き自体をアウトソーシングしてしまうという方法をおすすめします。
会社設立専門の税理士法人に手続き代行を依頼すれば、紙もオンラインも関係なく、すべてお任せで進められます。
「経営サポートプラスアルファ」はそうした会社設立代行を専門に行う税理士法人です。
定款作成、定款認証、会社設立登記等多くの手続きを代行します。
さらに、法人設立に関する報酬はいただきません(法人設立後当社が顧問税理士になってサポートします)。
1人ですべて行う場合、法人設立ワンストップサービスで楽になりましたが、それより会社設立そのものをアウトソーシングした方が何倍も楽です。
ぜひ「経営サポートプラスアルファ」の利用を検討してください。
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