個人事業主として事業を進めている人の中にはあえて法人化しないケースがあります。
それではどうして法人化しないのか理由が気になる人は多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では法人化しない理由を中心に解説しましょう。
法人化しない理由
どうして法人化しないケースがあるのか、よくある理由について紹介しましょう。
手続きが面倒だから
法人化しない理由でよくあるのは手続きが面倒だからです。
法人を設立するためにさまざまな手続きを進める必要があります。
それは本業を進めながら並行してする必要があり、それが面倒という理由から法人化しないケースがあるのです。
積極的に法人化する理由がないのであれば、わざわざ面倒なことをするより法人化しないままでいた方が良いと判断するのは珍しくありません。
法人化するのに費用がかかるから
法人化するためには費用がかかるからという理由で法人化しないケースがあります。
法人化のためにかかる費用は株式会社の場合は約25万円、合同会社でも約12万円です。
さらに専門家に任せる際には報酬も発生します。
資本金も用意する必要があるのです。
これらの費用を支払う負担が大きいという理由から法人化しないと判断するのはよくあります。
社会保険の負担が増えるから
法人化しない理由として社会保険の負担を敬遠するケースがあります。
株式会社でも合同会社でも設立すると社会保険への加入の義務が生じます。
個人事業主の頃よりも社会保険料の負担が増えるのです。
負担が大きくなるという理由から法人化しないと選択する人はたくさんいます。
役員報酬が変更できない
法人化すると設立してから3ヶ月以内に役員報酬を決める必要があります。
そして、一度決めた役員報酬は1年間毎月同額にしなければいけません。
これは定期同額給与というルールです。
翌年度になるまで役員報酬が変更できません。
また、役員報酬の変更のためには株主総会などできちんと同意を得る必要があります。
このように役員報酬の変更は面倒であり、1年間は変更できないといった制約もあるため、これらを面倒と感じて法人化しないケースがあるのです。
税務が複雑になるから
個人事業主から法人になると税務が複雑になるという理由から法人化しないケースがあります。
個人事業主のときよりも税務作業は増えるのです。
税務の負担が増えると、その分だけ本業に割く時間が減ります。
税務が複雑になるのを避けるという理由から法人化しない人は多いのです。
税理士のサポートが必要だから
法人の税務は複雑であり、素人が対処することは難しいため、多くの法人は税理士のサポートを受けています。
しかし、税理士に仕事を依頼すると報酬を支払う必要があるのです。
そのような負担が増えるのを避けたいという理由で法人化しない人がいます。
法人化するメリット
法人化しないよりも法人化した方が良いケースはたくさんあります。
ここでは法人化するメリットについて、詳しく理由を解説しましょう。
社会的な信頼を得られる
法人化することで社会的な信頼を得られます。
個人事業主よりも株式会社や合同会社といった法人組織の方がきちんとした経営を行い、資金力もあるという理由で信頼されやすいのです。
事業によっては社会的な信頼がとても大事なケースがあります。
営業活動や資金集めなどで社会的な信用はとても重要です。
これらの理由から法人化するケースは少なくありません。
赤字繰り越しが最大10年可能
法人であれば赤字繰り越しを最大で10年行うことができます。
法人化しないで個人事業主のままだと赤字繰り越しは最大でも3年です。
赤字繰り越しを長くできれば、節税につながります。
赤字を翌年に持ち越して繰越控除できるからです。
節税対策をしたいという理由で法人化するケースはよくあります。
有限責任になる
株式会社や合同会社は有限責任であり、会社が倒産したとしても出資した範囲でのみ責任を負います。
たとえ事業に失敗したとしても、個人の財産で債務の支払い義務は生じないのです。
このように責任の範囲が限定的であるという理由から法人化するケースがあります。
特に事業規模が大きくなると法人化しないままでは万が一の際にリスクが大きくなるのです。
ただし、金融機関から融資を受けるときには代表者が連帯保証人になる場合があり、この場合は負債の支払い義務が個人にも生じるため注意しましょう。
法人化すると所得の分散が可能
法人化すると所得を分散させられるのがメリットです。
たとえば、家族を従業員として給与を支給すれば所得が分散され節税できます。
所得税には累進課税が適用され、所得が高いほど税率が上がるのです。
もし所得を分散できれば、税率を下げられるという理由から節税につながります。
法人化しない場合よりも支払う税金を減らせるケースがあるのです。
自分や家族に退職金を支払える
法人化すれば自分や家族に対して退職金を支払うことが可能です。
退職金の支払いは経費として計上できます。
さらに、法人の場合は5年以上勤務した役員へ退職金を支払うと税制上有利です。
退職所得控除を差し引き、さらに課税額は半分になります。
家族に退職金を支払いたい場合は、法人化しないよりも法人化した方が以上の理由からメリットが大きいです。
節税できる
法人化しないで個人事業主でいるよりも法人化した方がさまざまな形で節税できます。
たとえば、役員報酬を支払い、給与所得控除を受けることが可能です。
個人事業主の場合は事業利益のすべてが課税対象となるのですが、上記の理由から法人化した方が所得を減らせます。
他にも、従業員への退職金を経費にできる、赤字を最大10年繰り越しできるなどの理由から、法人化しないでいるより法人になる方がメリットがあるのです。
消費税が2年間免除される
個人事業主として消費税の課税事業者になったならば、法人化しないと損をします。
その理由は法人化すると消費税の課税を遅らせることができるからです。
新しく設立した法人の資本金が1,000万円未満であれば1期目は消費税が免除になります。
さらに、特定期間の売上高が1,000万円以下の場合には2期目も継続して消費税が免除になるのです。
倒産防止共済
倒産防止共済とは中小企業のための共済制度です。
取引先の倒産による連鎖倒産やキャッシュフロー悪化などで困ったときに、無担保無保証人で掛け金の最大10倍までの資金を借り入れできます。
つなぎ融資としての役割を果たしてくれるため、最悪の事態を乗り切ることが可能です。
一定条件を満たしていると個人事業主でも倒産防止共済に入れます。
継続して1年以上事業を行っており、定められた業種に含まれる場合です。
もちろん、法人化した後でも加入できます。
法人化した後の倒産リスクを軽減することができる便利な制度です。
法人化する方法
法人化しないとさまざまな理由からリスクがあります。
そこで、個人事業主から法人化したいときの方法について紹介しましょう。
法人形態を選ぶ
これから法人化したいならば、まずは法人形態を選ぶことになります。
会社の種類を大きく分けると株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の4種類です。
このうち合資会社と合名会社は無限責任であり、ほとんど新規の設立はありません。
この理由から、新しく法人を設立する場合は株式会社と合同会社から選ぶことになります。
株式会社のメリット・デメリットは下記の通りです。
株式会社のメリット | ・社会的信用が高い ・資金集めしやすい ・人材を確保しやすい |
株式会社のデメリット | ・設立費用が高い ・決算報告の義務がある ・役員に任期がある |
合同会社と比較すると株式会社は知名度が高くて社会的信用もあります。
そのため、資金集めや取引先探しなどで有利です。
株式会社の方が優秀な人材を集めやすいのもメリットといえます。
株式を発行できるため、資金集めの選択肢は豊富です。
デメリットは合同会社よりも設立費用が高い点、決算報告の義務がある点、役員に任期がある点です。
決算報告の義務があることから手間がかかります。
また、役員に任期があり、任期を終えるために新しい役員を選んで申告する必要があり、こちらも手間がかかるでしょう。
これらの理由に大きなデメリットを感じる場合は株式会社として法人化しないのもありです。
一方、合同会社のメリット・デメリットは下記の通りです。
合同会社のメリット | ・設立費用が安い ・決算報告の義務や役員の任期はない ・経営の自由度が高い |
合同会社のデメリット | ・知名度が低い ・社会的信用が低い ・資金集めの方法が限られる |
合同会社のほうが株式会社よりも設立費用が安いです。
また、株式会社とは異なり決算報告の義務や役員の任期はありません。
さらに、合同会社では経営の自由度が高い点もメリットです。
迅速に意思決定できるという理由から株式会社で法人化しないで合同会社を選ぶケースは少なくありません。
合同会社のデメリットは知名度が低いこと、社会的信用も低いこと、株式を発行できず資金集めの方法が限られることです。
これらの理由に不安を感じる場合は合同会社で法人化しないで株式会社を選んだ方が良いでしょう。
法人の設立登記をする
株式会社でも合同会社でも、どちらの場合でも設立する際には登記手続きをしなければいけません。
法務局に対して法人の設立登記をして受理されれば法人として活動できるようになります。
法人の設立登記をする際には会社の基本事項を決めて定款を作成します。
その後に株式会社の場合は定款の認証を受けなければいけません。
そして、必要書類を集めて法務局に提出します。
法人設立後にも税務署や年金事務所などへの手続きが必要です。
法人化はタイミングは超重要!専門家に理由を聞くべき!
法人化のメリットを理解すれば、法人化しないという考えを改める人も出てくるでしょう。
ただし、法人化するとなるとタイミングが重要です。
法人化する理由がないのに無理に法人化する必要はありません。
さまざまなメリットとデメリットを考慮して法人化しないかするか決めるべきです。
それは素人ではなかなか判断が難しいため専門家に相談することをおすすめします。
そうすれば、法人化のタイミングについて理由を含めてアドバイスをもらえるからです。
もし、法人化のタイミングについて専門家に理由を聞きたいならば、経営サポートプラスアルファをおすすめします。
経営サポートプラスアルファであれば会社設立の専門家であり、法人化についてしっかりサポートできるのです。
興味のある人はお気軽に経営サポートプラスアルファへお問い合わせください。
まとめ
法人化しない理由としては、手続きが面倒な点や社会保険に加入しなければいけない点、税務が複雑になる点などがありました。
しかし、実際には法人になることで節税ができる、社会的な信用を得られる、赤字を最大10年まで繰り越せるといったメリットもあるのです。
法人化しないつもりの人も、上記のようなメリットを考慮すれば法人化する理由を見つけられるでしょう。
もし法人化の理由について専門家に意見を聞きたいならば、経営サポートプラスアルファへご相談ください。
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