会社を作るために「何人用意しなければならないのか」と考える人は多いです。会社と言うからにはある程度まとまった人数が必要とのイメージがあるのでしょう。
そのようなイメージがあるかもしれませんが、実際には一人で会社を作ることが可能です。実は多くの人数を集めなくても、一人で会社は作れるのです。
ただ、一人で会社を作ることには様々な利点やリスクがあります。今回はこれらについてご説明します。
一人でも会社は作れる仕組み
意外かもしれませんが会社は一人でも作ることが可能です。まずはこの点についてご説明します。
会社設立の最低人数は一人
そもそも「一人で会社を作ることが可能なのか」と気にしている人は多くいます。会社といえば従業員が居るイメージで、一人で作るものではないとの認識が強いようです。
このようなイメージを持つ人がいるかもしれませんが、現在の会社法では一人で会社を作れるようになっています。昔の法律では会社を作るためには複数人必要でしたが、現在の法律では会社を作るための人数は一人だけなのです。
法律が変化していますので、一人で会社を作ることには何ら問題はありません。従業員を雇っていなくても役員が他にいなくても会社は作れるようになっています。
一人で作る会社と個人事業主の違い
一人で会社を作ると「法人」として仕事をします。売上は法人のものですし、責任も法人として負います。一人しかいない会社でも、法人には違いが無いのです。
それに対して個人事業主は「個人」として仕事をします。売上は個人のものですし、責任も個人として負います。良くも悪くも全て自分個人に影響する仕組みです。
会社を作る場合と個人事業主として働く場合は「個人」と「法人」の違いと認識しておいて良いでしょう。細かな違いについては割愛しますので、ここでは個人と法人という大きな違いがあると理解しておけば差し支えありません。
一人で会社を作る4つの利点
一人でも会社を作ると以下の利点を得られます。
- 信用力が増す
- 節税できる可能性がある
- 仲間割れしない
- 従業員を雇用しやすくなる
具体的にどのような利点があるのかを続いてはご説明します。
一人で作る利点1:信用力が増す
会社を作ることで信用力が増します。一般的には個人よりも法人の方が信用力が高いと考えられていて、会社を作ることで同じ一人でも信用力を高められるのです。
一人で仕事をするのであれば、会社を設立するのではなく個人事業主の選択肢もあります。個人事業主の方が設立に手間がかかりませんので、一人で仕事を始める場合にはハードルの低いものです。
ただ、一般的には個人事業主のように個人で仕事をするのは信用力に欠けるとの印象があります。この問題を解決するために、一人でも会社を作る方が良いのです。
なお、会社の方が信用力が高まると考えられる理由は様々です。例えば「会社は法人登記されている」「従業員を雇っている場合は複数人という安心感がある」などです。基本的に登記されているとの観点で信用力が高まりますので、一人でも会社を作る意味はここにあると考えて良いでしょう。
一人で作る利点2:節税できる可能性がある
会社を作ると節税できる可能性があります。売上金額など条件によって左右されますが、売上金額が多くなると一人でも会社を作るべきケースが多々あります。
節税できる可能性がある理由は、個人と会社で別々の税金が発生するからです。具体的には個人は所得税と住民税、法人は法人税と法人住民税が主に課税されます。
この中でも注目するべきは、所得に対して課税される所得税と法人税の税率です。所得税は累進課税ですので税率が所得に応じて高まりますが、法人税は基本的に一定です。結果、累進課税によって所得税率が法人税率を上回るタイミングがあり、法人税を支払った方が税金が少なくて済むようになるのです。
ご説明したとおり、税率は特定の所得によってどちらが高いか入れ替わります。言い換えると入れ替わるタイミングまでは所得税率のほうが低くなっています。会社を作ると必ず節税できるわけではありませんので、節税できるタイミングを意識するようにしなければなりません。
一人で作る利点3:仲間割れしない
一人での会社設立は仲間割れするリスクがありません。複数人が集まって会社を作ると、何かしら仲間割れが起きてしまうリスクがあります。一人であれば絶対にこのようなことが起きません。
会社を運営するにあたり、仲間割れは可能な限り避けたい事象です。衝突が起きるとお互いに仕事をやりにくくなりますし、無駄に時間が過ぎてしまう可能性もあります。
もちろん仲間割れが一概に悪いとは言い切れません。仲間割れが起きたり衝突したりすることで、より良い道に進める可能性はあります。仲間割れが絶対に悪だとは言いきれないのも事実です。
そのような考え方もありますが、仲間割れは時間を無駄にする可能性が十分にあります。そのため、最初からリスクを排除できるのはメリットなのです。
一人で作る利点4:従業員を雇用しやすくなる
個人よりも会社を作る方が従業員を雇用しやすい傾向にあります。これも上記と同様に、一般的に個人よりも会社の方が信用力が高いイメージがあるからだと考えられます。
中長期的に一人で会社を続けるつもりであれば、従業員の雇用については考える必要ありません。逆に今は一人であるものの近い将来従業員を雇用したいならば、会社を作る方が良いでしょう。
ただ、会社を作ると一概に従業員を雇用しやすくなるわけではありません。例えば、資本金が1円の会社では信用力にかけてしまい、従業員が雇用しにくい可能性があります。従業員を雇用するならば、ある程度雇用される側が安心できる会社を作る必要があります。
事業の拡大を考えているならば、従業員を雇用したくなる場面があるはずです。一人でも会社を作ると、そのような場面でスムーズに従業員を雇用しやすくなります。
一人で会社を作る3つのリスク
一人で会社を作る場合、利点を得られるだけではなく以下のとおりリスクもあります。
- 万が一の時に継承できない
- 社会保険料が負担になる
- 会社の全てを一人で対応することになる
どのようなリスクが発生するのかについてもご説明します。
一人で作るリスク1:万が一の時に継承できない
一人で会社を作ると万が一の時に会社が継承できなくなってしまいます。適切に準備していないと、自分が死亡した場合などに会社が消滅するリスクが潜んでいるのです。
まず、株式会社の場合は株式を相続してもらう必要があります。一人で会社を作ると自分で株式を保有しているケースが多いですので、それを相続してもらうのです。その後、株式総会を開いてもらい新しい取締役が選出されれば会社は消滅しません。しかし、株式を相続してもらえないと株主がいなくなり会社が継承できなくなります。
また、合同会社の場合は一人だけの社員が死亡すると解散扱いになってしまいます。株式会社のように株式を継承して、新しいメンバーで会社を継続することが不可能なのです。
ただ、合同会社については定款で死亡時の扱いについて定めておくとこのリスクを回避できる可能性があります。合同会社の場合は万が一に備えて、定款に適切な記載をするようにしておくのがおすすめです。
一人で作るリスク2:社会保険料が負担になる
一人で会社を作ると会社として社会保険に加入する必要があります。個人の場合は個人として社会保険に加入しますが、会社を作ると法人として各種社会保険に加入しなければならなくなります。
一人で会社を作る人の中には「従業員がいなければ社会保険は関係ないのではないか」と考える人がいるかもしれません。社会保険は従業員のために加入するものとのイメージを持っている人がいるのでしょう。
ただ、このイメージは誤ったもので一人で会社を作る場合でも社会保険への加入は必要です。株式会社を作り役員となる場合でも、合同会社を作る社員となる場合でも社会保険に加入しなければなりません。
なお、例外的に会社に属するのが一人で役員報酬がゼロ円の場合は社会保険に加入する必要がありません。ただ、一人で会社を作ると多少なりとも報酬を受け取るはずですので、基本的には社会保険料が発生し会社として負担しなければなりません。
一人で作るリスク3:会社の全てを一人で対応することになる
一人で会社を作ると会社の全てを自分でしなければなりません。収入源となる事業はもちろんのこと、各種事務作業も全て対応する必要があります。これは会社を運営していくにあたり大きな負担となりかねません。
基本的に会社を作ると、会社を作らずに個人で仕事をするよりも事務作業が増えます。例えば会計処理は複雑になりますし、社会保険の手続きをしなければなりません。契約関連の手続きも増えてしまう可能性があります。「個人で仕事をするのと変わらないだろう」との気持ちで会社を作ると、ギャップの大きさで驚いてしまうかもしれません。
なお、一部の業務については外部にアウトソーシングが可能です。伝票入力を代行してくれるサービスがあったり、社会保険の手続きを引き受けてくれるサービスがあったりします。一人で会社を作る際にはこれらの利用も視野に入れ、自分一人に負荷がかかり過ぎないように注意しましょう。
まとめ
一人で会社を作る場合の利点とリスクについてご説明しました。一人でも会社は作れるようになっていますが、一人で会社を作ると利点だけではなくリスクも発生します。利点だけに注目するのではなく、リスクも理解して会社を作るかどうかを考えなければなりません。
利点とリスクを踏まえて会社を作るとなっても、自分で会社を作る手続きをするのは難しいものです。
そのため不安を感じている人は、手数料無料で24時間会社設立の受付をしている経営サポートプラスアルファにご相談ください。
一人で会社を作る作業は負担が大きいですので、会社設立のプロがサポートします。