一人親方は税務調査を受けやすい!?税務調査を乗り切るために何をすればよいか?

建設会社で修行を積み、一人親方として独立した方に税務調査が入った場合どうなるのでしょうか?

一人親方も事業者であり、確定申告している以上、税務調査が入る可能性があります。

完全にランダムに税務調査が入るのか、それとも一人親方だから特別税務調査が入りやすい事情やそのための対策法などがあるのでしょうか? 

しっかり会計処理をして適切に確定申告していれば税務調査が入っても怖くないわけですが、それでも何か指摘され、追徴課税されては困ったことになります。

今回は一人親方の税務調査について考えていきます。

税務調査が入る確率は、個人事業主で1%程度、法人で3%程度と言われています。

しかし、さまざまな業種の中で差があり、税務調査に入りやすい業種というものがあるようです。

業種として、無申告や申告漏れ、脱税などをしている事業者が多い業種を税務当局は狙い撃ちします。

限られた税務調査の人員を効果的に徴税へ向けるには、税金を取れる業種を集中的に調査します。

建設業は実は税務調査に狙われやすい業種になっています。

令和4年度法人税等の調査実績の概要」(国税庁)

によると

不正発見割合の高い10業種の順位が出ています。

  1.  その他の飲食 36.2%
  2.  廃棄物処理 29.4%
  3.  中古品小売 28.7%
  4.  土木工事 28.1%
  5.  職別土木建築工事 27.7%
  6.  医療保健 27.6%
  7. 一般土木建築工事 26.8%
  8.  管工事 26.4%
  9.  自動車、自転車小売 25.1%
  10.  美容 25.0%

業種の横の数字は不正発見の割合です。

申告漏れや脱税、無申告などがこの割合で見つかります。

これは法人税の税務調査実績ですが、個人事業主が支払う所得税についても似た傾向があるとされています。

一人親方はこのランキングでは「土木工事」「職別土木建設工事」「一般土木建設工事」に該当します。

その他飲食(キャバクラやバーなど)よりも税務調査が入る可能性が高いことは注目すべきです。

1%以上の確率で税務調査を受けると認識してください。

つまり、正確な会計や適切な税務申告がより求められるわけです。

個人事業主だから税務調査なんて入らないと高をくくっていると、大変なことになるかもしれません。

税務調査は事業者ならば誰でも入る可能性はありますが、その中でもこういう時に入りやすいということがあります。

具体的に入りやすいケースを挙げます。

起業・開業してから3年~5年以上経過している

開業当初は会計処理や確定申告に慣れていない可能性もあり、いきなり税務調査に入って追徴課税を求めるケースは少ないようです。

過去5年分までは修正申告(更生の請求)が可能ですので、自分で気付いた上で行ってくれることも期待しています。

開業から3年経過すると会計や確定申告に慣れてくるはずなので、「しっかり申告しているはずだ」というわけで税務調査の対象になる確率は高くなっていきます

税務調査も修正申告と同様原則として過去5年分まで遡及できます。

そのため、起業・開業してから3年〜5年程度経つと税務調査が入る可能性があります。

逆に言うと開業1年目、2年目の確定申告について税務調査が入る可能性は低いです(ゼロではありません)。

例年と比べて売上の変化が大きい

ずっと年間売上500万円だったのに、いきなり900万円に増えた、あるいはずっと800万円だったのが300万円になったなど、例年と比べて売上に大きな変化があった場合、税務調査が入りやすい傾向になります。

なぜ急激な増減があったのか税務所はわからないので、税務調査して詳しく調べたいということです。

増えた場合は「今まで過少申告していたのでは?」、減った場合は「今年はわざと売上計上しなかったのか?」とどちらにしても過少申告や申告漏れを疑います。

もちろん、大口の契約ができ売上が急激に増えた、事故や病気で働けなかったなどしっかり説明できれば問題ありません。

現金商売を行っている

報酬の受け取りや支払いに銀行口座を利用している場合、証拠が残るので不正はできません。

しかし、現金日払いなど口座履歴が残らない仕事をしているといくらでも不正ができてしまいます。

具体的には受け取った報酬を計上せずに、売上や課税所得を減らして税金を減らす方法です。

もちろん、過少申告や脱税を指摘されます。

一人親方に税務調査が入りやすいのは現金商売を行っている割合が比較的多いからです。

口座振り込みで報酬を受け取っていれば問題ないのですが、今でも現場で日給を現金で受け取っている一人親方の方が結構います。

そういう人は本当に売上として計上しているかわからず、税務調査時に申告漏れを指摘されやすい=税金を取りやすいのです。

でも黙っていればバレないのでは?と思われるかもしれません。

一人親方の仕事は発注先、依頼主(ゼネコン)などから受注します。

まずゼネコンに税務調査が入り「○○さん(個人、一人親方)に▲▲万円現金で支払い」という証拠が見つかれば、それをもとに○○さん(一人親方)に税務調査が入ります。

そこで○○さんが▲▲万円を計上していなければ、簡単に申告漏れが発覚します。

脱税や申告漏れが発覚する理由として、第3者からのリーク(○○さんは脱税しています)も多いのですが、一人親方の場合、発注先への税務調査から芋づる式に調査が入ってということが多いようです。

もちろん、飲食店で「いやー現金払いだから証拠が残らなくていいよ」などと話せば、どこからリークされるかわかりません。

家族や友人からの税務署へのリーク、通報は意外に多いのです。

もちろん、適切に会計、申告していれば堂々とできるわけで、やましいことをしないのが大前提です。

大型工事を受注して急に売上が伸びた場合、何か大きな買い物をして羽振りが良くなり、不動産を購入するなどすると、税務調査が入りやすくなります。

マイナンバー登録によって以前よりも税務当局はみなさんの資産を把握しやすくなっていることや、一人親方の場合、設備投資はあまり必要としない、自分のスキルを売っているところがあり、資産を増やしやすいので把握されやすいこともあります。

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税務調査が入り申告に誤りがあると指摘された場合、修正申告書を作成して税務署に提出します。

所得税を過少申告していた場合、不足していた税額や延滞税、過少申告加算税などを納めます。

悪質と判断されると重加算税という重大なペナルティが科されます。

不足していた税額
・過少申告加算税:10%
・不申告加算税:15%~20%
・不納付加算税:10%
・延滞税:7.3%~14.6%
・重加算税:35%~40%(悪質な脱税の場合)

故意ではなく悪質性が低ければ刑事事件にはなりませんが、重加算税を課される可能性があり、本来の納税額よりも非常に多く納税しなければなりません。

税務調査で問題があった場合、翌年以降も税務調査が入る確率が上がります。

そのような事態を防ぐためにも、顧問税理士を付けた方が良いのです。

税務調査の確率をゼロにはできません。

過少申告や売上無計上などをせずしっかり会計して申告していれば問題なく、堂々としていれば良いのですが、先方は税務のプロフェッショナルで重箱の隅をつついてくる可能性はあります。

一人親方が税務のプロに対抗するのはかなり大変です。

少しでもリスクを減らす方法はあるのでしょうか?

適切な会計処理

当たり前のことですが、売上についてしっかり記帳し、計上漏れがないようにします。

経費については、プライベートなものを計上せず、家事按分も適切に行います。

適切に申告されていれば税務調査が入っても怖くありません。

ウソをつかない、必要なものは正しく計上する、これは税務調査対策だけではなく事業主の基本です。

現金払いを可能な限りやめて口座振り込みにする

 売上の証拠が残るように口座振り込みに可能な限りしましょう。

これなら、売上を計上していないという指摘を排除できます。

会計上も口座と紐づいていることはいろいろメリットがあります。

現金払いの仕事を断れということではありませんが、可能な限り税務調査時にも説明しやすいような口座振り込みに切り替えてください。

顧問税理士をつけて税理士が申告する

一人親方が税務調査の対象になる確率を下げる(ゼロにはできない)方法として、確定申告を税理士に依頼します。

書面添付制度と言って、税理士が確定申告書をどのような考えでどうやって作成したかという情報を申告書につけると、税理士への信頼性が高まり、税務調査をしなくても大丈夫だろうと税務署は判断し、税務調査に入る可能性が減ります。

税理士が確定申告したのに、それに漏れがあれば、税理士自体の信用にかかわります。

また、申告漏れや脱税に加担することはできないでしょう。

したがって一人親方が自分で確定申告するよりも、税理士に任せた方が税務調査のリスクが減ります。

また、仮に税務調査の対象となっても、税務署は事前に税理士に聞きます。

そこで問題がなければ一人親方まで聴取に行きません。

顧問税理士報酬は毎月1.5万円~3万円くらいです。

記帳は自分で行うのか、全部任せるのかでも報酬額は変わってきますが、いざという時に大きな味方になってくれます。

税理士の、書面添付制度を活用すると、もし申告書に誤りがあった場合でも加算税が課せられないなどのメリットもあります(税理士の責任になります)。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

個人事業主で顧問税理士をつけている割合はそれほど多くありません(税理士をつけている割合は約10%〜15%)。

しかし、一人親方は税務調査の対象となりやすく、いざ税務調査が入った場合、申告漏れなどを指摘される可能性があります。

ペナルティ次第では、発注先からの仕事が減る(止める)可能性もあり、リスクを考えると、多少顧問料を支払っても税理士の監修を付けた方が良いといえます。

インボイス制度も始まるため、消費税の確定申告も必要になるケースが増えます。

税務は専門知識が必要なので、顧問税理士をつけることを検討してください。

経営サポートプラスアルファは、会社設立や法人成りに強く、多くの一人親方のご支援をしています。

税務調査対策にも強みがありますので、どうぞお気軽にご相談ください。

経営サポートプラスアルファでは、土日祝日夜間も対応します。

また、遠隔地にお住まいの方はLINEやZOOM、チャットワークなどでもご相談いただけます。

一人親方の方は税務調査を受けやすいと言われています。万全の対策で対応できるようにしましょう。

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