廃業後にも税務調査は来る?税務署に狙われやすいケースなども合わせて紹介します

高齢の事業者の廃業が相次いでいます。

廃業しないで事業継続させるためのM&A(事業承継)や「事業引継ぎ支援センター」といった公的機関、「事業承継・引継ぎ補助金」のような補助金もあります。

高齢化が進む中で技能やノウハウを後世に残すため、さまざまなサポートがありますが、それでも廃業を余儀なくされるケースがあります。

あるいは事業を立ち上げたもののうまくいかず、新しい道を開拓するため廃業する人もいますし、事故や病気で続けられないケースもあります。

廃業は残念なことですが、一つの区切りとして大切なものです。

その廃業後に税務調査がやってくることはあるのでしょうか?

どのようなケースで税務調査されるのか、されやすいケースはあるのでしょうか?

今回は廃業後の税務調査について解説します。

原則として廃業後の税務調査の時効までは可能性があります。

税務調査の時効は5年、悪質な脱税などがあれば7年に延びます。

開業しても過去5年分については少なくとも税務調査が入る可能性があります。

事業していたのは事実ですから、その間に納税の義務を正しく果たしていたかどうかは、開業の有無にかかわらず、国家徴税権の行使として税務調査の対象となります。

したがって、廃業したからと言って税務署類(確定申告書、決算書等)や領収証については捨てずに保存することが求められます。

捨ててしまえば、税務調査に入られた時に証拠がなく、追徴課税の対象になりますし、税務署調査官からどのくらい追徴課税を指摘されるかわかりません。

廃業しても書類、帳票はしっかり保存し、いつ税務調査が来てもおかしくないように準備をしておくことが大切です。

廃業時も確定申告は必要です。

ある年の1月、お正月明けに廃業届を出したとしても3が日は事業実態があるので、原理的にはその年についても税務調査の対象になります。

したがって、年明けすぐ廃業したとしても翌年の確定申告が必要になります。

赤字倒産や赤字が連続していて事業継続できないので廃業したケースは、所得税も法人税も(法人住民税均等割)以外は税金ゼロになるので、確定申告しなくても大丈夫です。

しかし、他に事業をしている人や会社員などは損益通算ができるため、赤字の場合でも廃業した翌年に確定申告した方がメリットはあります。

廃業にかかった費用についてはその年の経費として計上できます。

事務所閉鎖にかかる費用(什器備品の撤去、室内の清掃)、什器備品の移送、粗大ごみのごみ処理費用などは経費にでき、それで赤字になれば確定申告不要です。

黒字決算になった場合も廃業しても確定申告が必要です。

確定申告しなければ、申告漏れ、脱税になってしまうのは言うまでもありません。

廃業の年が赤字決算で確定申告しなくても済む場合も、過去分については当然税務調査の対象になります。

そこで申告漏れ等が見つかれば、追徴課税の対象になりますし、税務調査の結果、経費に計上できないものも計上していて、修正の結果黒字になれば、その分の納税が必要になります。

廃業したから税務調査に狙われるということではありません。

しかし、税務調査されやすい廃業後の事業者の傾向があります。

個人事業主を廃業し法人成りした場合

廃業したのは個人事業主としてであり、その事業を法人成りして会社に引き継がせた場合、利益が出て法人成りした(節税のため法人成り)ことも予想されます。

赤字決算が続いておらず、むしろ黒字が拡大している中で若い人が個人事業主を廃業し、法人成りした場合は、たくさん利益が出ていて税額も増えます。

ここで積極的に税務調査して、申告漏れがないか調べようということです。

飲食店などで開業、廃業を繰り返している場合

事業からすっぱり足を洗っての廃業ではなく、同じ事業者が同じような業種の開業、廃業を繰り返しているようなケースです。

代表者の個人データは税務署として把握できますので、同じ人が開業、廃業していることはわかります。

飲食店などに多いのですが、ブームで開業して終わりそうになったらすぐに廃業する、証拠をあまり残さずに消えるケースがあります。

タピオカ屋、唐揚げ屋、バナナジュース屋などをイメージするとわかりやすいです。

あるいは補助金目的で開業して、事業実態がほとんどないのに補助金だけ受給して廃業するようなケースです。

開業、廃業を繰り返せば、税務署として把握でき、「要注意人物」として税務調査の対象になりやすくなります。

廃業によるロンダリングを防ぐために積極的に税務調査します。

過去の税務調査で指摘された場合

過去に税務調査が入り、その際に申告漏れや脱税が指摘されたケースでは、廃業時にもう一度ということがあります。

税務処理が不適正な事業者は、開業時にも正しい税務処理がなされない可能性があるからです。

廃業後であっても、税務調査によって申告漏れや脱税を指摘された場合、追徴課税や懲罰的な課税命令が下ります。

流れとしては、修正申告書を自分で作成して税務署に提出します。

修正申告と更正の場合、不足していた税額や延滞税、過少申告加算税などを納めますし、悪質と判断されると重加算税という重大なペナルティが科されます。

なお税務署は特に会社の廃業の場合、その手続きが適正に行われているかどうかもチェックします。

会社廃業の場合、通常の申告時期とは異なり、会社の清算処理時が確定申告のタイミングです。

5月が決算期でも12月に廃業した場合、申告時期が前倒しになります。

5月まで待っているとその間は無申告状態になり、不申告加算税などが課されるかもしれません。

会社設立や廃業に詳しい税理士に聞いた方が良いでしょう。

適正な申告を求めるのが税務調査の目的であり、廃業が正しく行われ申告されているかチェックされる可能性もあります。

廃業後の税務調査で課される可能性があるのは以下の税金です。

不足していた税額
・過少申告加算税:10%
・不申告加算税:15%~20%
・不納付加算税:10%
・延滞税:7.3%~14.6%
・重加算税:35%~40%(悪質な脱税の場合)

税務調査の結果これらを納税しなければなりません。

不服申し立てもできますが、論理的に説明するのはかなり難しく、やはり普段の会計処理をしっかり行うしかありません。

廃業しているので翌年税務調査が入ることはありませんが、追徴課税されたものを払わないとさらにペナルティがあるのは言うまでもありません。

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廃業後にも税務調査はやってきます。

それに備えてできることは何なのでしょうか?

書類、帳票は7年~10年保存する

法律上、書類を保管するべき年数については、個人事業主であれば5~7年、法人であれば7~10年と定められています。

廃業してもこの規定は有効です。

個人事業主の場合廃業後7年、会社の場合は廃業後10年経過までは可能性として税務調査があり得ます。

場所を取るかもしれませんが、保管をお願いします。

書類がないと、税務調査が入った場合、金額が確定できず、税務署調査官の類推になります。

この類推はみなさんに有利には働きません。

証拠を残すことは大切ですし、全部捨ててしまったとなると、経費の証拠なしなどと判断され、税額が一気に増えてしまいます。

領収証だけではなく、請求書や発注書など事業に関係する帳票類も捨てずに保管しておくことが大切です。

修正申告や無申告があれば遡って行う

修正申告、更正の請求は5年分遡ってできます。

税務調査で指摘される前に、修正申告や無申告がわかれば、自主的に申告しましょう。

無申告は脱生と判断され高額の重加算税が課されてしまいます。

相談できる税理士を見つけておく

廃業前から顧問税理士がいた場合は、その税理士との関係は維持しておきましょう。

毎月の顧問報酬はいらないかもしれませんが、税務調査が入った時に対応してもらえるよう契約ないし約束をお願いします。

個人事業主の方で税理士を付けたことがない、あるいは税務調査が入ったことがない方もいざという時に相談できる税理士を探しておくことが大切です。

税務調査をきれいに乗り切って有終の美を飾りたいものです。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

廃業すればそこで事業は終わりになるため、継続して顧問税理士を雇うことにはなりません。

しかし、特に会社を廃業する場合、清算手続きが個人事業主の場合と比較して複雑になります。

うっかりしていると、最後の確定申告時期を間違えて追徴課税されてしまうかもしれません。

最後だけでも良いので会社設立や廃業に詳しい税理士を頼ってはいかがでしょうか?

経営サポートプラスアルファは会社設立専門の税理士法人です。

会社設立に詳しいということは会社の廃業にも詳しく、廃業後に来た税務調査についても適切にサポートします。

廃業を考えている事業者の方は、最後の税務についての仕上げをしっかりするため、ぜひ経営サポートプラスアルファまでご相談ください。

「経営サポートプラスアルファ」では、土日祝日夜間も対応します。

また、遠隔地にお住まいの方はLINEやZOOM、チャットワークなどでもご相談いただけます。

開業も廃業も重大な決断になりますが、経営サポートプラスアルファはそのどちらもサポートし応援いたします。

ぜひご相談ください。

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