デザイナーとして独立開業する際に準備しておきたいことは何?成功の秘訣を解説

デザイナーとして、今いる会社や事務所から独立をしたい方は、結構いらっしゃるはずです。

フリーランス、あるいはデザイン会社を立ち上げて、自分が好きな分野のデザインをやり、それで生活をしていく。

自由な働き方の中で時間にとらわれず仕事ができれば、ご自身のアイデアも冴えわたるでしょう。

その方がデザイナーとして優れた実績を残せそうです。

しかし、独立して成功できるのはごく一部の人というのも事実です。

そこで、デザイナーとして独立し、うまく軌道に乗せるために何が必要なのかここでは解説します。

独立を考えているデザイナーの方は、ぜひ参考になさってください。

デザイナー独立のために必要なこと

デザイナーとして独立開業する際に必要なこととはどのようなことなのでしょうか?

漫然と職場を辞めて独立してもうまくいくことはありません。

注意すべきことを解説します。

独立に際して特定の資格は必要ない

デザイナーとして独立する際に、特定の資格は必要ありません。

「デザイナー」と名乗った時からデザイナーです。

学歴も多少は影響するかもしれませんが、「東京藝術大学卒業」の肩書があってもそれで仕事が取れるかというとそうではありません。

同じレベルの作品があった場合、学歴が上の方が多少加点されるくらいです。

実務経験がないと話にならない

デザイナーとしての実務経験がない場合、独立しても仕事を獲得することは非常に難しいです。

デザイン単品を自分で作成して、それが優れていても、クライアントが求めるデザインができる保証がないからです。

単に絵がうまい人、デザインがうまい人が独立し、成功できる世界ではありません。

「ポートフォリオ」を充実させる

デザイナーとしての評価は「ポートフォリオ」を充実させられるかどうかにかかっています。

ポートフォリオとは自分の作品集のようなもので、これを見せれば、自分のスキルについて相手に伝えることができます。

営業の際に、「これをどうぞ」と渡されるカタログのようなものです。

ポートフォリオは

  • 紙のポートフォリオ
  • Web上のポートフォリオ

に分けることができ、できれば両方用意したいです。

紙のポートフォリオは、製本(簡易製本でOK)しておくと、実際の営業活動に使えます。

WEBのポートフォリオは、自身のHPを作り「作品集」のような形で掲載できると良いでしょう。

HP作成が難しい場合は、専用のアカウントを作り、TwitterやFacebookに作品をアップしても構いません。

作品以外のコメントは(そのアカウントでは)載せないことを強く推奨します。

クラウドソーシングなどでとにかく単価が安くても実績を作る

実績を作るためには実績が必要、という世界ですが、初期の実績はクラウドソーシングサイトで見つけることができます。

ランサーズやクラウドワークス、ココナラならば、過去のポートフォリオにそれほどこだわらない案件もあります。

単価は低いですが、とにかく数をこなしましょう。

たとえ1枚1000円のデザインでも、仕事を受注すればそれが実績となり、ポートフォリオに載せることができます。

クライアントによっては名前を掲載することを是とするものもあり、それなら、高額な案件に応募する際にアピール材料にできます。

何より人脈、ネットワークを作る

近年、世間を騒がせたデザインを巡る問題でも指摘されましたが、あの世界は人脈がすべてです。

お友達同士で賞を回し合っていることについては強く批判されるべきですが、その人脈、グループに入ることで得られる利益(経済的利益、社会的利益)は非常に大きいということです。

いくらデザイン的に優れていても、人脈が薄い人はコンペで落選してしまいます。

交流会やSNSなどを通して、デザイナー仲間や広告代理店などとのネットワークを構築するのが何より大切です。

実力一本で上りきるには、難しい業界とも言えます。

もちろん、真にデザイン力があれば食べていくレベルならば大丈夫です。

社会的な名声や有名企業案件の受注が難しくなるということです。

個人事業主よりは会社設立した方が信用がある

個人名あるいは屋号(「〇〇工房」)で独立し、仕事をすることもできますが、クライアントとしては会社(法人)への依頼の方がしやすい傾向になります。

同じレベルの作品であれば、法人(「〇〇株式会社」)の方が信用されやすいのです。

法人は登記するので、情報が公開されるということもありますし、これはデザイナーをはじめ芸術分野の分野の場合、自身の作品に拘りすぎるあまり、納期を守らない人もいるようで、そうしたリスクが会社の方が低いということもあります。

もちろん、個人事業主として成功しているデザイナーもいます。

みなさんの判断次第ですが、場合によっては開業に詳しい専門家の意見も聞いてみましょう。

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法人と個人事業主それぞれのメリットとデメリット

会社設立をして法人として独立した方が信用が上がると書きました。

一方で個人事業主として開業する場合のメリットもあります。

両者を比較してみましょう。

会社設立

個人事業主

メリット

社会的信用がある(取引先、金融機関から見て)

簡単に開業できる

経費の範囲が広い

定款などの作成義務がない

責任の範囲が有限

自由な働き方ができる

赤字繰り越しが10年である

廃業手続きもすぐにできる

利益次第で個人事業主よりも税率が下がる可能性

社会保険に加入できないため、国民健康保険と国民年金では老後が不安

最高税率が23.2%と所得税の約半分

 

デメリット

設立までの手間がかかる

社会的信用がない

設立後の帳票作成や税務申告が大変

最大税率45%と法人税よりはるかに高い

赤字でも法人住民税(均等割)がかかる

無限責任で経営失敗のマイナスはすべて自分が負う

社会保険へ加入しなければならない

赤字繰り越しが3年までしかできない

会社の廃業手続きが煩雑

経費で落とせる範囲が狭い

会社設立はコストや手間が増えるが信用度が上がる一方、個人事業主は気軽に開業できるが、信用が(相対的に)低いことになります。

各種手続きも法人の方が複雑で面倒になりますが、大きな仕事を獲得するためには会社設立をした方がいいです。

信用と手間を天秤にかけることになります。

もう1点考えていただきたいのが、納税です。

法人と個人事業主では納める税金や税率が異なります。

事業主体法人(会社設立)個人事業主
所得税代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その5%~45%事業の売上から「事業所得」を算出してその5%~45%
個人住民税代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その約10%事業の売上から「事業所得」を算出してその約10%
消費税課税売上1000万円以上の場合支払う(2年間は支払い義務がない特例もあり)課税売上1000万円以上の場合支払う
法人税かかる(15%~23.2%)なし
法人住民税かかるなし
法人事業税かかるなし
個人事業税なしかかる

売上が少ないうちは個人事業主の「所得税」の方が、法人が納める「法人税」よりも低くなります。

しかし、一定ラインを超えると(おおよそ1000万円くらいのことが多い)、所得税よりも法人税の方が安くなります。

最初は個人事業主として独立開業し、売上が上がってきた段階で法人化し、会社設立をする方法もあります。

ただし上述のように、デザイナーの仕事は法人の方がよりやすく信用されやすいので、税金面だけで判断せず、多少税金が高くなっても、最初から法人として開業するという選択肢もあります。

どちらにすればよいのか、ご自身だけで考えずに専門家のアドバイスを聞くのも1つの方法です。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

自宅開業と事務所を借りる開業

デザイナーとして開業する場合、自宅開業と外部に事務所を構える方法があります。

自分1人で仕事をするならば、自宅や自室を事務所にして開業しても問題ありません。

パソコンやイラストツールがあれば問題なくできるはずです。

しかし、大掛かりなデザインソフトなどを使い、来客用スペースなどを設けたい場合、簡易なポートフォリオとして、作品を展示したい場合などは、外部に事務所を借りることになります。

開業費用として見積もる必要が出てきます。

開業費用内訳

費用(見積もり)

物件取得費

(敷金、礼金、前家賃等)

事業用事務所、ビル

約200万円

マンションタイプ

100万円

店舗改装

事業用事務所、ビル(マンションは改装不可)

50万円

パソコン

20万円~30万円

デザインソフト

10万円~20万円

当面の運転資金

50万円前後

合計

上限500万円

(法人の場合)法定設立費用

法定設立資金(高くて約20万円)+資本金

いくら高くても500万円ほどになります。

外部のビルや商業テナントをデザイン事務所とした場合、開業費用が最も高くなります。

それだけお金をかける価値があるのか、最初は自宅開業でもいいかもしれません。

そのあたりについては、開業に詳しいコンサルタントの意見も聞いてみるといいでしょう。

そのうえで開業資金が必要な場合、自治体の創業相談や、お近くの日本政策金融公庫や商工会議所、商工会の「創業窓口」で資金調達について相談してください。

法人登記と資金調達が必要なケースもあります。開業と資金調達についてプロフェッショナルをそろえている「経営サポートプラスアルファ」にぜひ相談してください。

創業融資に強い税理士法人がサポート

デザイナーとして独立したい場合「経営サポートプラスアルファ」に相談しましょう

デザイナーとして独立するだけならば誰でもできますが、そこから生活していくだけの収入を得て、かつ社会的に成功するレベルまで持っていくのはかなり大変です。

独立後ステップアップしていくためには、ポートフォリオの充実や人的ネットワークの構築など、みなさんの努力によるものが大きいです。

それ以外の部分、開業手続きや開業後の会計処理、税務申告業務など、デザイナーの本筋とは離れるものについて、可能な限りアウトソーシングする選択肢があります。

「経営サポートプラスアルファ」は各分野のエキスパートをそろえており、これらの業務についてお手伝いいたします。

「経営サポートプラスアルファ」は土日祝日夜間も対応します。

また、遠隔地にお住まいの方は、LINEやZOOM、チャットワークなどでご相談いただけます。

独立開業前からなんでも聞いてください。

デザイナーとして独立成功のためには、何よりみなさまの実力を正当に評価できる環境づくりが大切で、そこに注力できるよう、全力でサポートさせていただきます。

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